第203話 ルシテルを愛する
ルシテルは第一王女と共に兵を率いてジャックナイフを占領したという。
そしてカービングに使者として降伏勧告に来た。運悪く死んだ大公に取り次ぎの交渉をしている時に敵対勢力の奴に魔法で拘束されたと。その時に魂食いは駆除されたという。
ルシテルは捕まり、敵対国の奴だから殺すも活かすも俺の自由だとか言われ、四肢を切り落とされて牢屋に入れられたという。そう、死んだ衆道の奴だ。
話を整理する。
三年前の召喚はルールを無視した召喚の為に失敗した。その時に異界の魔王も召喚してしまった。
俺の召喚時は魔王がいるので、正規の召喚ができたと、ルシテルは信じて疑わなかった。おまけに魔王が発生しているのはルシテルも実際に確認した。だから、この世界を救う為に最悪人身御供になろうとも思ったと。
騙されていたとはいえ、正に聖女ではないか!
俺の召喚は本当の事故か、三年前の無理な召喚による影響に引きずられた事故っぽい。
そして真の勇者がいなかったから召喚が失敗したと見なし、翌週にもう一度行った。そして近日中にもう一度行うと。
益々思う。ルシテルは被害者だ。俺は青ざめた。被害者に小便を掛けてしまったと。
俺は力強くルシテルを抱きしめた。
「俺は勘違いとはいえ、君にとんでもない事をしてしまった。謝って許される事ではない」
「大丈夫です。どうか頭をお上げくださいませ。元々貴方様を召喚したのは私で間違いございません。それどころか切り落とされた四肢を治して頂き、胸も再建して頂きました。そして失った筈の命を頂きました。魂喰いに私の魂の殆どを喰われてしまっており、後どれ位生きていられるか分かりませんが、既にこの身も心も全てランスロット様の物でございます。性奴隷として御仕え致します」
立上がり優雅にスカートをちょこんと持ち上げてお辞儀をした。この世界に来て初めて見たそれである。
俺は彼女の前で膝を付き、そのまま抱き寄せ、お腹で泣いてしまった。
彼女も辛かっただろう。己の体が許されざる行動を取るのを見ているだけだ。可哀想に。
「事情は分かった。この命ある限り君を守ろう。俺のハーレムに入れ。君を愛してしまった。魂が感じてしまった。君が欲しいと。さっきのお詫びを何かしたい。俺にできる事なら何でも言ってくれ」
「勿体無いお言葉です。あ、その、本当に何でも宜しいのでしょうか?」
「あ、あんな事をしたんだ。と、当然だ。奴隷の首輪までしてしまったんだ。男に二言はない」
「うふふ。ランスロット様でも動揺されるのですわね。大それた事は希望しません。可能ならば今晩にでも、そ、その、こ、刻印をお願いします。恐らくもう数日とせず、ひょっとすると明日の朝を迎えられないと半ば確信しております。例え魂食いに魂を喰われてしまいましても、真の勇者様による刻印による寿命の凍結の方が優先されます」
当たり前の要求だった。俺は思わずキスをした。
「分かった。今日君を俺の妻にしよう。先送りには出来そうにないな。落ち着いたらデートとかしてお互いをよく知ろうね。でもこのままだと明日の朝を迎えられない」
ルシテルがモジモジしている。ちょっと可愛いなとドキッとした。
どうしたのかと聞く。
「そ、その、皆の前で恥ずかしいです。ランスロット様の意地悪。あの、私のファーストキスを皆の前でって酷いでしゅ」
あっ!最後に舌を噛んだな。
もう一度キスをした。それもディープなのを。周りは皆真っ赤だ
「俺の妻にしようと言うのだ、全力で愛してやる。俺の元へ来い」
俺の差し出した手を恭しく握りしめ、恥ずかしそうに俯いている。
俺はもうルシテルを許している。それどころか今は召喚をしてくれた事を感謝さえしている。今は惨めで怖い思いをさせてしまった事に対するお詫びの念で一杯だった。それに俺が見たルシテルは、最初に別の部屋に通された前後に魂食いに支配されており、俺を放逐したのは魂食いだと分かった。
今朝は小便を掛けた位怒っていたが、今では事実が分かり愛してしまった。皆に告げる。
「これよりルシテル グリーンウッドに対して刻印の儀を執り行う。その後ボレロに向かうので、皆準備をして欲しい。最悪ボレロでスタンピードが発生している状況かもだ。その場合、カービングでの状況の二の舞だ。調理人に料理を作らせて準備を頼む。直ぐに行きたいが、そうするとルシテルが命を落とすだろう。もう彼女に残された時間は10時間も無いんだ」
何故か彼女の寿命が分かった。ルシテルが驚いている。皆に指示を出すとクロエとルシテルを連れて紅の屋敷に向かった。
王権移譲は明日の朝執り行う事と急遽なった。
紅の屋敷でルシテルの清めの儀を行い、お姫様抱っこでゲートにより寝室へ連れて行く。結局清めの儀は中止に出来なかった。
彼女の体も素晴らしい。とても綺麗だった。胸も予測通り大きい。サイズや形を聞くと元のと同じと言う。どうやら復元前のサイズを見間違えたようだ。そういう事にしておこう。
清めの儀はしたくなかったが、蘇生した体に異常が無いか調べる必要から堪能する事なく一生懸命行った。俺が真面目に行っていて、ルシテルも恥ずかしがらなかったので、俺も助かった。
刻印の儀を始める前にもう一度お詫びをし始めたら、キスで遮られてしまい、猛烈に愛おしくなり、刻印の儀を始めていく。
色々あり、頭を休めたかったが、刻印の儀を終えた後、ルシテルが俺の頭を抱えて撫でていた。その心地良さにいつの間にか寝ていったのだった。
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