第55話 隷属者
俺は最後のクレアが服を着て風呂場から出てくるのを待ってから、全員に俺のステータスカードを見せた。
俺が異世界からの転移者で有る事、可能な限り秘密にして欲しい事を伝える為だったが、それを伝えると皆泣き出した。
「ああなんて事でしょうか。こんな事って有るんだ。まさか勇者様の所に貰われただなんて」
等と皆喜びの声を出していた。その後シェリーがパフォーマンスを始めた。
「今から行う事をよく見ていて下さい」
そうして上半身裸になり、胸元の奴隷紋を皆に見えるようにし、ナンシーも同様にしてからシェリーが説明を始めた。
「私は今から一度奴隷ではなくなります。ナンシーも同じです。正確には隷属契約ですが、詳しくは後程教えます。契約解除後にもう一度奴隷契約を行って貰いますが、ご主人様は私達2人が自から契約解除を行える様にして下さっています。私は元奴隷で、所謂解放奴隷です。それにナンシーは一般市民です。ランスロット様の隷属者でいる間は、成長がとてつもなく早くなり、とてつもない成長が可能となる等、素晴らしい恩恵を賜れます。つまり、加護を授かれるのです。その為私とナンシーは自らがお願いをして隷属契約を結んでいます。よく見ていて下さい。隷属契約解除」
隷属紋が消えた事から、2人の奴隷契約が解除された事が分かる。4人はこの2人が今何を行ったのかを理解し、驚いていた。
すかさず俺はシェリー、ナンシーの順番で隷属契約をやり直した。
その様子を見て皆が驚いていた。
「ああ!勇者様!」
と聞こえる。俺は4人に、隷属契約に切り替える旨を伝える。
「今から隷属紋にて再契約を行う。まずはその無粋な首輪を外そう
そう言い、4人の胸元に隷属紋を刻むと、その途端に首輪が外れた。自らの首にもう首輪がないのだと確認した4人は泣き崩れた。フレデリカが心酔してしまったようだ。
「ああ、まさか生きて首輪が外れる日が来るだなんて思いませんでした。身も心も全てランスロット様に捧げます。どうかお側にいさせて下さい」
他の3人も同じような事を言っている。
「主従契約に移行出来るように頑張って欲しい。いずれ解放奴隷の証としての隷属紋を刻みたい。シェリーとナンシーと結んでいるのは主従契約で、唯一外す事のできない制約のみが残る。それは俺に対して殺意を向けない、悪意を持った攻撃ができないというだけで、俺が不埒な事をした時に平手打ちをしようとしたら、ちゃんと当たる感じた。後は今見ての通りだ」
そして皆におしゃれな服を渡し、これを着るように指示を出した。
「これで契約をやり直す事が出来たな!」
俺は一安心して呟いた。
皆が服を着がえると俺は4人のステータスに偽装を行った。
そして服屋に出掛ける。ナンシーは一旦ギルドに仕事に戻り、戻る時に寄り道をしてもらい夕食の店を予約をお願いした。
店に着くと女性陣には服と下着を選ぶように指示をする。シェリーは
「ご主人様に夜伽で楽しんで頂く為に真剣に選ぶんですよ」と言うと4人は下着を買って貰える事に驚いていた。そして夢中になって下着を選んでいた。シェリーさんやい俺にも聞こえてるんだが。
普段着と冒険者の服も選ばせる。下着は普段用を数着。
俺は店員にネグリジェを人数分選んで貰う。
俺にもナイトガウンとバスローブをだが、今までは宿屋暮らしだったから寝間着が無かったのだ。
皆が服や下着選びに夢中になっている間に近くの食堂で朝食の買いだしを行った。勿論収納に入れる。
武器屋に寄り、人数分のダガーと各種武器を買い足した。
「おっちゃん、パーティーメンバー用の武器を買いに来た」
「またなんか面白いドロップ武器は無いのか?」
「悪いね、今日は持ってきていないけど、今度また持ってくるよ」
今は無い旨を伝え、手早く買い物を済ませて引き上げたが、そろそろ夕暮れである。
服屋で大量の服を買った後は靴屋に行った。4人の足を測って貰い、取り急ぎ普段履きと冒険者用の靴を購入し、その場で履き替えさせた。そして冒険者向けと、普段履の靴をオーダーメイドで注文していった。
そうこうしているとナンシーから自分も向かうので、予約した店にそろそろ向かって欲しいと念話が来た。
そしてちょっとした高級店に入る。
個室を借りており俺の左右にシェリーとナンシーが座った。4人が床に座ろうとしたので、テーブル席に座らせてたが、今一度床に座らないでとお願いをした。
4人はとても驚いていた。
4人には料理を選ぶ事が出来ないだろうからと、ナンシーに注文を任せた。
そして料理が出揃う。日替わりの定食だ。皆同じのを選んでくれていた。
4人は大層驚いた。人数分の食事が有ると言うのは、自分達の分も有る事を意味するからである。
「俺達と君達4人とは奴隷と主人という形での出会いだけれども、これも何かの縁と思い、俺の家族として頑張って生きて行こう。
皆で協力し、出来れば楽しく生きていって欲しい。皆との出会いが素晴らしい出会いとなる事を祈ろう。この出会いに感謝を!」
お茶で乾杯し、先ずは俺が一口食べた。そして皆に食べるように命令した。俺が食べてから命令しないと、彼女達は中々食べられないからだ。
俺は席を移動しつつハンカチを片手に4人の涙を拭いて回った。
4人はかつてのシェリーと同じで、我を忘れてがむしゃらに、食い散らかす等下品に食べていた。これを予測して個室の店を選んで貰った。
俺も席に戻り、ちゃんと完食した。4人が活き活きと食べる姿を見て、この子達を買って良かったと思う。
その反面俺が買わなかった子達はどうなってしまったのかと今更だが思うのだった。良い奴に買われていったと祈ろう。
食事を終えるとナンシーは、荷物の整理が有るから今日は宿舎に帰る事になった。
いよいよ引っ越すと決めたのだ。俺はナンシーにお礼を述べた。
「今日はありがとう。助かったよ。ナンシーの次の休みにデートをしよう」
そうしてハグをするとパッと明るくなった。この笑顔がたまらない。別れ際に4人の冒険者の登録の準備と、初心者講習の申し込み登録をお願いしておいた。それと出来上がったギルド服を渡した。これでナンシーのスカートの中は守られる。あれは俺の物だ。
そして店を出て屋敷に向かったのであった。
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