第40話 屋敷の購入へ

 ナンシーは俺とシェリーのお金のやりとりを見て、シェリーを部屋の隅に連れて行った。そして俺に聞こえないように何やら話をしていたが、どうやら上手くやったようで、シェリーを頷かせる事に成功したようだ。


 漏れ聞こえて来た話の中には、下着がどうの、男性はどうのといったような気になるワードが含まれていたように思う。

 どうやらナンシーはシェリーに俺から貰ったお小遣いで買い物をさせる事にしたようだ。お金の使い方に関しては主人というか、男である俺がどうこう言うより、女性同士で話し合う方が良いだろう。


 報酬の分配の話を終えると、次は俺がナンシーと話しをする事になった。話しは受付嬢として話す事とが殆だが、メインは受付嬢相手というより、個人的な事についての相談をしたかったのだ。公私混同?的な事だが。


 俺の相談ごとの前にと断りを入れつつ、ナンシーは家についての話題を出してきた。

 既に不動産屋と打ち合わせをしていて、候補を3つに絞ってくれていたのだ。


 1 貴族の愛人の為の邸宅 

 2階建て

 部屋数7

 内装が豪華絢爛で家具付き。この邸宅を与えた愛人が浮気をし、結果としてこの愛人はその貴族の怒りに触れ、浮気相手もろとも殺されたとの事で、その後売りに出された。

 価格 1億6千万 

 貴族街にある


 2 没落した貴族の邸宅

 3階建て 

 部屋数20

 貴族の屋敷としては小さい。敷地の広さは文句なし。借金のカタにされており家具など一切無い。

 お風呂はそこそこ豪華

 質実剛健的な佇まい

 ギルドからもほど近く、貴族街に近い高級住宅街 

 価格 1億7千万 

 但し専用の調理人が調理するような厨房は無く、一般人の家にあるようなキッチンで調理をする。


 3 豪商の別邸 

 奴隷商人の奴隷を教育していた邸宅でかなり旧い 

 部屋数 20部屋以上

 面積も広く郊外に有る。

 ギルドからも商業地からも遠い閑静な場所にある。

 違法奴隷の摘発で奴隷と共に没収された。

 価格 1億2千万 

 但し多数の死者が居た為買い手が付かない。

 

 各々の屋敷の間取りを見せてくれた。


 俺は2番目が良いと思った。見る事が可能なのかを聞いたのだが、これからでも大丈夫だそうだ。

 不動産屋はギルドの直ぐ近くとの事だった。他の話と相談事は後にする事にし、先ずは物件を見に行く事にした。


 俺は不動産屋へ行く前に、一度宿に戻り着替えをする事にした。着替えは宿に置いている。

 ナンシーとシェリーは今後の事について、打ち合わせを行いたいとの事で、シェリーはギルドに残る事にした。


 俺はテキパキと着替え、ギルドに急ぎ戻ったので早速3人で不動産屋へ向かう。

 俺が着替えに戻っている間にランクアップの手続きは無事に終わっていた。


 不動産購入も専属受付嬢の対応業務の範囲の為、ナンシーは俺達に同行するのは、業務として堂々と行けるのだ。


 不動産屋へ行き、不動産屋の担当のスタッフの方と4人で現地を見に行った。


 外観は可も無く不可も無くオーソドックスな邸宅。

 中を見ると1階はエントランス、応接室二つ、大浴場、トイレ(各フロアに有り)使用人控え室、一階及び二階に倉庫、トイレ、洗面所、客間兼一般居室18部屋。

 3階が主人の執務室、寝室、書斎、リビング、キッチン、居室4部屋、小浴室、客間2室となっている。

 一通り確認するも問題ないようだ。立地も良く、シェリーも気に入ったようだ。但し、当たり前の事だが、家具が無いのでがらんとしていて淋しい。


 庭には馬車が置ける車庫や、馬の為の厩舎と来客用の一時的な馬車置き場もあった。

 問題なのはお風呂場。水は上水道が完備されているが、お湯の方だ。俺自身にとって、特に問題はなさそうだが、お湯を作るのは宿に有るような魔石か魔力を流すタイプの魔道具を使う必要がある。まあこれは当面俺が風呂の準備を担当する事になるだろう。


 2人にもう一度ここで大丈夫かと聞くと、シェリーからは俺が稼いだお金で買うのだから問題ないと言われた。ナンシーはお花畑だった。


「いずれここで私達は暮らすんですね!ここが愛の巣になるのね!」


 目を潤ませていた。

 特に問題が無い様なので、不動産屋の担当スタッフに購入する事を伝えた。

 そうして不動産屋へ戻り、購入手続きを行う。

 邸宅は引き渡し前のクリーニングを行うとの事で、引き渡しは3日後となった。お金をギルドカードからの引き落とし処理にして貰い、ギルドで支払い手続きを行った。

 うん!3日後が楽しみだ。


 家の件が片付いたので、後でしようと思っていた話と相談をする事にし、まずはナンシーの次の休みを確認した。


 明日が休みだというので、

 明日一緒に冒険活動をする約束をした。

 ナンシーから行き先についての提案があった。何でも初心者向けのダンジョンがこの町に有るというのだ。元々この町はダンジョンで発展した町なのだそうで、初心者用のダンジョンは一度攻略をすると、その人はもう入れなくなるのだとか。攻略を出来る実力が有れば新人を脱却出来る強さがあると認められるらしい。


 要はそのダンジョンに行き、ナンシーのレベルを上げる事になる。剣技等はスキルを上げればなんとかなるが、レベルが上がればステータスが上がり、追い剥ぎ程度は軽くあしらえるだろうと思い、決定したのであった。

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