31 はじまったばかり
むせかえる気配に息をのんだ
ここから先に行くことを拒むような
見渡す限りなにもない荒野
けれど彼らは隠れてさえいない
遠くむこうに浮かぶ気球
誰もぼくらを気にもとめていない
この両足はあまりに頼りなく
とっくの昔に歩くことをやめたがっている
夜も朝も刺々しく
ぼくらをやすやすと迎え入れようとはしない
ぼくらは恐れている
砂時計の砂が落ちきってしまうのを
けれどぼくらはうたをうたい
いくつもの夜を耐え忍んだ
また過ぎゆく夜のたびに
どれだけの砂が落ちたとしても
この荒野をぼくらは進む
とっくに見飽きた手足をつれて
ぼくたちは歩いてきた
少なくとも落ちた砂時計の分だけ
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