第26話 愛しりとりと愛してるよゲーム
どいつもこいつも.....。
俺を誘惑しまくって何を考えている。
恥ずかしいとかそういうのを超えているのだが。
度を超えているんだ。
「.....」
「.....」
信じられない事に祐子はこの家に帰って来なかった。
何故かといえば.....祐子自体が勝手に泊まりに行ってしまったのだ。
朝日の家である。
つまり今日は帰って来ない。
明らかに計画的犯行だよな?
因みに母親と父親も大雨と風の為に帰って来れないらしいのだが。
どうすれば良いのだ俺は。
(東さん。その。私達は2人きりですか?)
「そうだな.....そうなると思う」
(恥ずかしいです)
「まあそうだけど.....どうしようもない」
俺をチラチラ見てくる凛花。
因みに今だが停電しているのだが風がめっちゃ強い。
ガタガタいっている。
凛花は怖いのかガタガタ震えながら俺の背後に居る。
これはマジにどうしたら良いのだろうか。
恥ずかしいどころかそれ以上なのだが。
「凛花。大丈夫か」
(大丈夫です。ちょっと怖いですけど)
「.....充電は大丈夫か?」
(充電は大丈夫じゃ無いです)
「参ったな」
俺は額に手を添えながら考えていると。
充電が切れた様だ。
凛花が悲鳴を上げて寄って来る。
その顔はかなり悲しげな顔をしている。
胸を押し当ててく.....る。
お。おい!
「凛花!気持ちは分からんでもないがヤバい!俺の色々なものが!」
「ひが、しさん。こ、こわい」
「分からんでもないが!怖いのは分かる!しかしお前の.....ああもう!」
真っ赤になりながら俺は凛花を抱き締める。
そして頭を撫でながら。
そのまま抱き締める。
それから必死に言い聞かせた。
大丈夫だ。大丈夫、と言いながら。
「ひ、東.....さん?」
「お前が怖がるのは良く分かる。だけど取り敢えず.....落ち着いて」
「わか、りました」
「ああ。.....あ。そうだ。丁度良いしお前が.....喋れる様なる様に特訓しないか?」
「特.....訓ですか」
「そう。特訓だよ」
俺が付き添っていたら駄目かな、と聞いてみる。
すると凛花は赤くなりながら俺を見てくる。
そして、じゃあ。お願いします、と言ってきた。
そんな姿に俺は頷く。
それから、先ずはしりとりしないか、と言ってみる。
「しり、とりですか」
「そう。しりとり。それだったら楽しめたりするから」
「そうです、ね。確かに、楽しめそうです」
「だろ?だからしりとりを取り敢えずやってみよう」
それから俺は、じゃあ先ずはミカン.....ってこれ駄目か、と俺は苦笑する。
すると凛花はビックリしながらクスクスと笑う。
そして柔和な顔で俺を見てきた。
それから、その。もし良かったら東さん。私からスタ。スタートさせて。下さい、と言って来た。
俺はその言葉に驚きながらも、良いのか?、と聞く。
その言葉に大きく頷く凛花。
「わた、しからのスタートで、大丈夫です」
「.....そうか。じゃあ頼むよ」
ゴウゴウと暗い外で風が窓に叩きつける様に鳴る中。
俺は凛花としりとりをスタートさせた。
凛花は、じゃあ。恋の『こい』。から、と言ってくる。
ビクッとしながら俺は聞いてみる。
意図的ですか?、と。
すると、はい、と返事をした凛花。
それから、駄目。ですか、と不安げな顔を向けてくる。
俺は首を振ってから笑みを浮かべる。
「大丈夫だ。.....じゃあ『い』だな。『いこい』ってのはどうかな」
「それだったら同じじゃないですか。もう」
「ハハハ。そういう卑怯な野郎だからな。俺は」
「.....でもそういう所も好きですけどね」
「アッハッハ」
じゃあ『い』ですね?じゃあ私は『以心伝心』です、と笑顔を浮かべる。
俺はその言葉に赤くなりながら、そ。そうか、と答えた。
そして赤面する。
全くコイツは.....、と思う。
明らかに俺に攻めて来ている感じだ。
「でも『ん』が付いたぞ」
「.....あ」
「ああ。でもちょっと待って。凛花。今お前さん.....言葉が途切れてないぞ」
「え?あ。.....本当だ」
凛花は驚きながら俺を見てくる。
そして涙を浮かべた。
ウルウル、と。
俺はその姿を見ながら、スマホ無くてもいけるじゃないか。お前さん、と言葉を発しながら見つめる。
凛花は涙を流し始めた。
「私.....喋れるんですね。東さんのお陰かなぁ.....でも東さんと一対一だから喋れるんだと思うんですけど」
「例えそうであっても。俺は嬉しいよ。お前が喋ってくれたのが本当に」
「こんな私に東さん.....付き合ってくれて有難う御座います」
「嫌とか言ってないだろ。.....じゃあしりとりの続きをしようか」
「待って下さい」
「?」
その言葉に待ったを掛けた凛花。
それから俺を見てくる。
まともに喋れる様になったら.....私したい事があったんです、と話してくる。
俺は、!、と浮かべながら隣家を見た。
凛花は赤面する。
そして凛花は俺を口をモゴモゴさせながら見てくる。
それから意を決した様に顔を上げた。
「私、愛してるよゲームがしたいです」
「は!?そ、それは恋人がするものだろ!馬鹿か!?」
俺は真っ赤になりながら凛花に怒る。
それもその筈。
凛花の言っている、愛しているよゲーム、は.....恋人が2人きりでするもの。
つまり今の状況でするものではない!
真っ赤になりながら俺は見つめる。
「容赦はしません」
「お前マジで言ってる?本気でするの?」
「当たり前ですよね。私は東さんを振り向かせたいんですから。それ以外に出来る事って無いでしょう今」
「.....ぐう.....」
「しりとりも良いですが.....私は東さんが好きなので」
凛花の強い眼差しに。
俺は何も言えずに溜息だけが出た。
それから、分かった、と言いながら俺は凛花を見る。
すると凛花は、分かったら良いです、と笑顔を浮かべる。
そして、で。私が勝ったら.....、と言ってくる。
俺は青ざめた。
「な、何を!?」
「.....誕生日を2人きりで祝ってほしいです」
「え?」
「私の誕生日が近いんです。4月終わったら.....祝って下さい」
「そうなんだな。それで良いのか?」
はい。
私はそれで幸せです、と言ってくる凛花。
その様子に、じゃあ俺が勝ったらどうなる、と聞いてみると。
はい。その時は私の誕生日を祝って下さい、と言ってくる。
いやまあ同じだよな?それ。
「ふふふ」
「.....お前という奴は。全く」
「私は祝ってほしいです。好きな人に」
「分かった。とびきりに祝ってやるよ」
「はい。期待しています」
それから俺たちは見つめ合う。
2回もキスをされた顔だ。
なんとも無いかと思ったが。
そんな事は無かった。
艶やかな唇。
何かを求める子犬の様な目。
そして柔らかそうな頬。
俺は真っ赤になりながらそっぽを向く。
くそう!美少女ってヤツは全く!
女子ってのは全く!
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