勇者パーティーの鱗片
ミアが壊した地面などは、一瞬でジェーダさんが直した。流石元勇者パーティーの一員で、現Sランク冒険者だ。
さて、とジェーダさんが一言吐くと、僕らに視線を向けてはを始めた。
「なんとなくわかりました。君たちは武術とか習ったりしてませんよね?」
「したことないですね。というかまだ戦闘経験は全然浅いです」
「そう、君たちはまだまだ戦闘経験未熟で、近接戦の上で必要な〝柔〟がないのです」
「「「じゅう?」」」
僕ら三人は声を揃えて疑問を含んだ声で鸚鵡返しする。
「近接戦で必要な二つのこと、それは相手を倒すための圧倒的パワーの〝剛〟。そして軽やかに避けたり、無駄な動きを無くすための〝柔〟です。この二つを使い分けたり、合わせたりすることで技となります。そうですね、お手本をお見せしましょうか」してしみましょうか」
僕らが測定したのと同じ木を地面から出現させ、裾を少しめくって腰を低くする。すぅーっと行きを深く吸って、いで機に吐き出すと同時に木に拳を叩き込んだ。
――ッドォォンッ!!
物腰柔らかそうで、おっとりとしたお姉さんが出せるような威力とは思えないほど強力な拳で、ミアよりは劣るけれど、僕の何倍ものパワーがそこから放出していた。
僕とミアはあんぐりと口を開けて驚き、リータは静かに驚いている。
「ちなみにスキルは一切使っていません。魔力をふんだんに込めて打っただけです」
あ、あれだけの威力をスキルなしだなんて……。元勇者パーティーの一員だけあってすごいなぁ……。
「これを身につけてもらうまでは、Cランクに上げることはできません」
逃げてばかりだったけれど、今度は立ち向かわなきゃならない。大丈夫かな……。
「みっちり、稽古をつけるので安心してくだいね?」
「は、はい……」
どこか恐怖を孕んで笑みを浮かべているジェーダさん。僕はただ肯定することしかできなかった。
【追記】
ジェーダの喋り方を少し変えました。どこでも敬語を使う感じに変化したので、よろしくお願いいたします。m(__)m
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