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 邪気がなければ大型のコウモリと変わらないなんて言われたら、確かにこのまま倒すのは少し可哀想に思えてきた。


 そうだよね、この場を無事に切り抜けられるなら別に倒す必要はないんだもんね。


「あの……倒さずに済むなら、それに越したことはないけど……。どうしても倒さなきゃいけないってわけじゃないし……」


「……承知した。では、デビルバットの動きを止めて、その隙にここを通り抜けよう」


 周囲を威圧するような気配がミューリエから消えた。目付きも少しだけ穏やかになり、フッと小さく息をついている。


 ということは、モンスターを倒すのはあまり乗り気じゃなかったということなのかな。


「でもどうやってデビルバットの動きを止めるの? 死なない程度に攻撃するとか?」


「いや、眠りスリーピングの魔法を使う」


「あっ、なるほどっ!」


 納得して思わず僕は手を叩いた。確かにデビルバットを眠らせてしまえば、お互い傷付かずに戦闘を回避できる。現状を打破するには最適な選択かもしれない。


 でもそんな便利な魔法が使えるなら、僕に教えておいてくれてたら良かったのに。ミューリエも人が悪いなぁ――っていうか、そもそも聞かなきゃ教えてくれないよね。もちろん、聞いたとしても何もかも教えてくれるとは限らないけど。


 その後、ミューリエは手のひらをデビルバットへ向け、静かに呪文スペルを唱えた。


 するとデビルバットの動きが徐々に鈍くなっていき、ふとした瞬間にまるで糸が切れたかのように翼も体も硬直してポトリと床へ落ちる。ただ、よく見るとかすかに鼻が動いているから、やはり絶命したわけではないだろう。



 これでようやく安心してこの場を離れることが出来る――。


 僕はホッとしながら立ち上がると、ゆっくりミューリエに歩み寄っていく。その後、デビルバットが眠っているうちに、急いで洞窟の奥へと進んでいったのだった。



 ――ここでアイテムをチェック。『勇気の欠片』をいくつ持っている?



●1個以上持っている……→25へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927860513437743/episodes/16816927860514828423


●持っていない、または持っているかどうか忘れた……→78へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927860513437743/episodes/16816927860517332426


 

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