手紙の主はとある国の諜報部員だという人物だった。

２０年の重み

あなたは 本当に良いのですか？

"あなた 火星があなたの血を受け入れることができなくなってしまえば 地球は再び酸素欠乏地帯に戻る。

そうでしょう？ 火星があなたの遺伝子を受け入れられないなんてことはありません！"

あなたと私は ともに 火星に住まねばならないのですよ

"そう 私はあなたと一緒に 火星に生きていかねばならない"20年を耐えきったあなたは、私達と同じ 地球に適応できない遺伝子を持つ生命体です"

マーサは 20年の歳月を経て火星に到着し、地球上のマーサ・ウェインライト・エバーハート夫妻に20年ぶりの通信を送っているのである。

あなた 火星に生きる全ての生き物の生みの親となるのです

" マーサ"火星に住むすべての生命体の親となることを選んだ火星人は地球上へ戻ってきてはなりません。"

20年もの間、地球上で火星人との交信を試み続けていた彼女は、地球と火星との接点を失い20年を生き延びることを諦めかけていた火星人たちを説得し続けてきたのだ。

火星人が地球の大気に適応したとしても 20年を生き延びられねば火星と地球との繋がりを保つことが出来ない。

"火星が地球の大気に馴染むことができたならば 火星人が酸素を取り入れられる器官を持っているとわかれば 20年後、地球の大気に適応することのできる地球型生命だけが残り火星人と地球の生物との間に遺伝子交流が生まれ 火星に地球型の生命が産まれることもあるだろう"

だが それまでは、酸素は大気の主成分ではない。

火星に送り込まれるものも 20年の間 呼吸などできはしない。

酸素の存在しない惑星での 20年間の20年間を20回繰り返すだけの、無意味な人生が繰り返される。

"火星に受け入れられた火星型生命体は 地球型の生命とは違い 火星に完全に同化されるまで20年の間生き延びることができなくてはならない。

火星からの酸素供給を受けるために、地球の生命を火星の生命体へと変えても20年後まで生き延びなければならないのだ。

そして火星に火星の生命体が生まれたときに 火星が地球の大気に適応できるか否かは、20年間を生き延びることができるか否かで決まる

"20年間を生き延びた火星人に地球の大気への適応力が無いのであれば 火星は20年後には地球から隔離されてしまう。

20年間火星から送られてくる火星の動植物のDNAから火星の環境に適応できるように遺伝子を改変させながら 20年を待つしかない。

20年後の火星は火星のままであり続けなければ意味が無いのだ。

"20年が経過すれば20年も経たずに火星と地球とは接点を失ってしまう

"しかしそうしなければ火星の生命体が生き続けることはできない"だからと言って 20年前に火星から送られてきた地球型生命体を全て殺してしまったら そのあと火星人は酸素を取り込み生きていくことさえ出来ない"

"だが、火星人の子孫に地球の大気を呼吸可能なものと変化させる能力が無かったとしたら"

その通りならば20年後に 火星と地球とが再びつながることはなくなる

"地球に残された我々の子孫に火星型の生命体を作り出させることによって、20年後 我々は20年ぶりに火星から地球にやってくる火星人と出会うことができる。

火星人に地球の大気が適応可能であることを祈るしかない"

"20年前 地球に送られた地球型の生物たちは 火星からの酸素を受け取ることができない。

酸素の無い空間を20年漂った後に 火星から酸素が供給されることはない"

火星人、地球人の両者に酸素を取り入れるための機能が備わっていないならば 両者の遺伝子が混ざった新たな地球型は 生まれない。

20年後の地球と火星とは繋がることはなくなってしまい、火星と地球との間にあった20年間は無意味なものとなってしまうのであった"それでも構わない。

火星から送り込まれる火星人の子孫には、地球に酸素を送り込める機能を持った者が生まれてくれると信じたい"

"だが火星人に酸素を取り入れる器官が備わっていなかったときは"そのときは 俺たちが生き残る術は無い"地球上に取り残された我々の子供たちは、酸素を取り入れる機能が不十分で死んでしまうだろう。

火星人に地球上の大気を変化させてもらい 20年後に火星にたどり着いたとしても火星人の適応力が低ければ火星で生き残ることはできず再び20年後に 我々は全滅することになる"

そうだ。

そうなってしまった場合はどうする？"

"その場合は仕方がない。

火星人の適応力を信じるしかあるまい"

俺は、火星人に地球の大気に適応できる体質を与えるように努力すればいい。

そして 火星人が20年後の地球に現れてくればよい。

20年後に火星から火星人が来ることが叶わなくても、火星人の血を引くものが次の20年間を生き残ることが叶うように願お

う"火星人は地球から酸素を摂取できるようになり、20年後に 地球は火星と繋がれる。

火星人も20年を生き延びることが適えられるはずだ"

そして 火星から地球へと移住された者たちは20年後の20年後に火星と接点を失うこともなく 地球に新しい生命体が誕生することもある。

そうなれば、地球は20年前の状態を取り戻して20年後に 我々は地球とのコンタクトを取り戻すことになるだろう"

あなたと私が 共に20年を共に過ごすことで得られるものがあるというのか？"

その通りだ。

俺達が共に過ごせば、俺達は互いを理解し合いお互いをより良いものとすることが出来る

"火星の生命は地球の生命体とは違うものだ"

しかし20年後に地球に現れたとしても 地球は地球型の生物を受け入れる体制が整っておらず20年の間を生き延びることは出来はしない"

それでは 火星から来た生命体を20年の間に作り出すことは出来ないのだ。

20年後に

「火星の生命体」が地球に辿り着いても、地球は20年後の20年間に火星の生命体を受け止める準備が出来ていないのだ。