異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った前世の知識は魔王級。家族には捨てられたけど、世界法則には気に入られた気がする。帰って来てくれと言われても、もう遅い。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

第1部 世界システムの揺り籠

第1章 ニオブざまぁ編

第1話 ハロー、異世界ワールド

 僕は父の前に立たされ、鑑定の結果を報告させられた。


「タイト、もう一回、魔力量を言ってみろ」

「はい、魔力量113です」


 僕はしこたま殴られた。

 頭が割れる程痛み、前世の記憶が蘇った。


 俺の前世は日本に住んでいるプログラマーだった。

 と言っても天才とかではなく一般的な腕のプログラマーだ。

 事故でなく過労死したらしい。

 最後の記憶は頭が割れる様に痛かったのを覚えている。

 きっと脳の血管がどうにかなったのだろう。

 同じような痛みを経験した事で、前世の記憶がよみがえったのかも知れない。


 前世の記憶と今世の記憶が融合していく。

 これは産まれた時の記憶だな。

 母と赤ん坊のタイトが居る。


「いい子ね」

「あー」

「私はもう長い事ないかも知れないから、よくお聞き。有能そうな所を見せては駄目」

「あむ」


 そして、3歳の記憶だ。


「いい、文字を教えたけど、人前で文字が読める素振りを見せては駄目」

「はい、母様」

「この屋敷にいる人間の誰にも口答えしては駄目よ」

「はい」


 タイトは部屋から出て屋敷をぶらついた。


「邪魔ね」


 いきなりメイドに蹴りを入れられた。


「うわーん」

「ぼさっと立っているからいけないのよ」

「あんたも鬼ね。こんな子供を虐めて」

「可愛がっている所を見せたら、奥様にどんな酷い目に遭わせられるか」

「それもそうね」


 酷いな。

 味方が母親一人しかいないのか。

 俺なら金を貰ってとっとと出て行くな。


 そして、4歳。


「母様、死なないで」


 タイトが手を握る母さんの手は火が点いた様に熱い。

 それに反して顔色は青白い。


「しっかりするのよ。何としても生き残りなさい。教えた事を忘れずに……」

「母様、母様ー!」


「ふん、死んだか。女を産んで死ねばいいものを」


 でっぷりと太った男が入ってきて言い放った。


「父上」


 こんな奴でも父親か。

 こいつはタンタル・バリアブル。

 貴族らしい。


「しばらくは生かしておいてやる。感謝するんだな」

「はい、父上」


 タイトはよく我慢していたな。



 そして、5歳。

 誰からも相手にされないタイトは、書庫で一人、本を読んでいる。


「タイト、何を読んでいるんだ?」


 話し掛けて来たのは、異母兄弟で長男のニオブ。


「兄様に置かれましてはご機嫌うるわしく」

「何を読んでいるのか聞いている!」

「領地に於ける税収と収量の関係です」

「難しい本を読みやがって生意気だぞ。ちょっと来い」


 無理やり立たせられ中庭に引きずるように連れていかれた。


「魔法を覚えたんだ。お前、魔法戦の相手をしろ」

「出来ません」

「出来なくてもやるんだよ。【火球よ敵を穿て】」


 火球の魔法が発動し、タイトの腹に当たる。

 なるほどな魔法はそうやるのか。


「熱い、痛い、助けて」


 記憶だから痛くもなんともないが。

 ニオブの野郎はタイトを殺しに掛かっているな。

 有能そうな所を見せては駄目というのを忘れたタイトが悪いのか?

 いいや、有能な弟を殺しに掛かるニオブが悪い。


「やわな奴だな」


「何をしている!」


 兵士が助けに入ってくれた。

 タイトはポーションを飲んで一命をとりとめた。


 そして、6歳。

 偉そうな人の前に連れて行かれた。


「鑑定の魔法を掛ける。魔法を受け入れろ」


 鑑定魔法かぁ。

 使ってみたいが、どういう仕組みなんだろう。


「はい」

「【魔力を用いてかの者を鑑定せよ】。ふん、魔力量113か」


 そして、父の所に行き報告を始めた。


「鑑定を受けました」

「で、どうだった?」

「魔力量113です」

「馬鹿もん! バリアブル公爵家の面汚しめ。それでは駒にもならないではないか。書庫で本を読み漁っているようだが、頭が良いだけの人間は信用できない」

「すみません」

「タイト、もう一回、魔力量を言ってみろ」

「はい、魔力量113です」


 タイトはしこたま殴られて、ここで記憶の融合が終わる。

 俺はタイトになった。

――――――――――――――――――――――――

 新作、始めました。

 よろしければ読んで下さい。


 タイトル『魔道具は歌う~パーティ追放の数年後、SSSランクになった俺を幼馴染は信じてくれなくて、振られた。SSSランクだと気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~』


 キャッチ『魔道具でほっこり、じんわり』


 タグ『異世界転生 ざまぁ ほのぼの 魔道具師 主人公最強 聞く力チート ステータス ハーレム』


 あらすじ『

異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。

音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、

幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。

魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。

そして再び出会う幼馴染。

彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。

もういい。

密かにやってた支援も打ち切る。

俺以外にも魔道具職人はいるさ。

落ちぶれて行く追放したパーティ。

俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。


https://kakuyomu.jp/works/16818093073204433967

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