深海魚

水深六千メートルで

ぼくは生きることだけ考えて生きていて

だから体がぴかぴか光る 視力がなくなる ひとりぼっちになる

きみの泳いでいるところまで浮上したなら

体の内側から爆発 四散 それで死ぬって知ってる

ここからじゃ海面が見えない

産まれる前から決まっていた

かみさまが作った設計図通りにぼくはできている

いつだって今日が今日の最適解だった

れんこんの穴は埋める必要なんてない

ぼくは穴の空いたさつまいもじゃないから

ほんとうはずっと

おかしい けれど大丈夫 って言ってほしかった

もしかしたらきみの隣で泳げたのかもね

この世は 生き残ったら勝ち

だって生存本能が叫んでる

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