第十九恋 寝ぼけた。赤くなった。オタク君。
あれは何時の出来事だったか。僅かに丈が足りていないカーテンの足元から零れている闇の色合いから、多分夜中の3時とかそんくらい。4時にはなってないなー、そんな雰囲気だった。
今日?昨日?の夜に俺はかなり幸せな夢を見た。推し様とサシでゲーム内の食堂にいて、しょーもない話で笑い合いながらマンガ飯ならぬゲーム飯をたらふく食べていた。もしかしたら、寝る直前に「アニメ飯再現動画」を見ていたせいかもしれん。何にしても、睡眠欲も食欲も交流欲もオタク欲も一気に満たせる最高すぐる
夢から覚醒する直前にその食堂に初恋相手が現れたのだ。推し様とのW主演結婚イベント以来、公式様でも何かと絡みが増えているのでその刷り込みが理由かも。
関係あるんだかないんだか微妙だが、その影響で「推し×好きなキャラ」「好きなキャラ×推し」の二次創作も増えていて「初恋相手が他の人に恋愛的興味を持っている状態がメチャクチャツラタン」な、ある意味同担拒否オタクとなった俺は自衛に一層の力を入れていたりする。違う次元相手にやきもきするって何だと思わんでもないけど、好きになった相手も違う次元の住人なので是非妥当だと判定されたい。
そんでもって、好きなキャラが登場してすぐに夢から覚めた。が、俺は夢が閉じる寸前に好きなキャラに手を伸ばしていた。覚醒夢(夢の中で「これは夢だ」と自覚する夢のこと by 幹孝ペディア)ではないので完全に無意識の中の意志だったのだが本気で手を伸ばして触れようとしていて、驚くべきことには好きなキャラもそれを受け入れていた。寧ろ俺が触れようとして当然、てな感じで構えていた。全身の血液が沸騰した気がして、次に気がついたのは半分目が覚めた状態。敢えて説明するなら“wake up”ではなく“get up“、要はつまり寝ぼけのデバフがかかっていた。いやだからこそあんな赤面必至なイベントが開催された訳で。
俺の体の下敷きにされていたらしく感覚がどっかに旅行していた左手を、その好きなキャラの左手のように思ってしまった。感覚が在宅していた右手で(好きなキャラの手と思っている)その左手を探して見つけるとギュムっと握り、なんだか過去最高体温を叩き出したんじゃないかと心配になるくらいポカポカする感覚がして、ホッとしてまた寝落ちた。しかも落ちる最中に好きなキャラがそんな俺を見て優しく微笑んでいる幻覚付きで。完全覚醒後に全てを覚えているオプション付きで。これでお値段なんと
そんな棒読み茶番を頭の中で繰り広げるくらいにはクッソハズい。成人間近のオタク君が直視するには気恥ずかし過ぎだし、もうこれを気恥ずかしいと認識していることもハズかった。うううう(泣)。
こうして、顔をぶつけたとかいう謎の理由でしばらくマスクをした俺が誕生した訳である。恥ずかしさが元の赤みが引くまでそれなりにかかったので、よっぽど酷い打ち方をしたのだと未だに名前を覚えられない同ゼミ生が心配してくれたのがなんとも言えず心に痛かった。
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