第18話 新ヒロイン、登場!?
僕の高校では、成績上位者10人の名前と点数は掲示板に貼り出されることが決まっている。
そうすることによって、勉強のモチベーションが上がったり、努力する人が増えることを目的にしているという。
そして全校生徒に成績表が返され、昼休みになったと同時に、学年が変わって初めての定期考査の結果が貼り出された。
例年は掲示板を見に来る生徒などほとんどいないらしいが、今年の1年生は違う。
掲示板の前には多くの女子が集まっていた。男子も見に来ている者はいるが、ほとんどが女子の多さを見て諦めて帰っていく。
そして掲示板に成績上位者10人の名前が貼り出され、1位の場所にある名前を見たと同時に歓声が上がった。
「やったー!
「イケメンで頭がいいとか、まじやばすぎるんですけど!」
しかし、掲示板の前で大歓声が上がっている中、掲示板を見ながらたった1人だけが下唇を噛んでいた。
「酒井、
「そういえば酒井くん、掲示板とか見に行かないの?」
「ああ、見に行ったところで何かが変わるわけじゃないしな」
「ふーん、そうなんだ」
掲示板に成績上位者10人の名前と点数が貼り出されている中、僕はクラスで悠々と昼飯を食べていた。
例年見に行ってる人がいないと聞いたし、見に行く人などいないと思ったからである。現にクラスの皆だって、ほとんどの人が残っているし。
「……酒井祐希!」
残りわずかのご飯をかき込むと同時に、目の前の教室のドアが開き、僕を呼ぶ声が聞こえてくる。
その声は言うまでもなく、女子の物だ。
「え、僕?」
現れたのは、肩まで伸びた綺麗な茶髪と髪色に合った眼が特徴的な美少女だ。
僕を呼んだその子を見て、少しずつ慣れてきてはいるクラスの大騒ぎに発展する。
男子たちは「またあいつかよ!」と泣き叫び、女子たちは現れた美少女に怒りの眼差しを向けている。
「放課後、屋上に来なさい!」
突然現れ、名乗ることもせずにそんな言葉を残して、茶髪美少女は嵐のように走って逃げていく。
「「ぎゃゃゃあああ!!!」」
クラスの女子たちは奇声を上げ、男子たちの殺気はより一層強くなった。
……もう勘弁してください。
「さ・か・い・くん?」
「え……次は何――」
次は後ろから僕を呼ぶ声が聞こえてくる。
どうしてだろう。声を聞いただけでわかる。
大石、めっちゃ怒ってるよ絶対!
「えっと……大石、さん?」
正直後ろを振り向きたくはないが、恐る恐る後ろを振り向くと、案の定怒っている大石の姿があった。
顔が笑っているため、一見怒っていないように見えるが、目が笑っていない。これは絶対怒っている。
「なーに?」
「……いや、僕のこと呼んだよね?」
「うん、呼んだよ?」
怖い、怖いよ……!
さっきから目が笑ってないんだって!
「ですよね……えっと、ご用件は?」
「行かないよね」
「は、はい……?」
「行かないよね」
急に行かないよねと言われても、何のことだか分からない……が、大石が怒るのに思い当たる節はある。
「その……それってもしかして、放課後のことでしょうか?」
「普通に考えてそれ以外に何があるの?」
「で、ですよねー! あははは……」
誰か……助けてクダサイ。
クラスの皆、僕たちのこと見守ってるみたいだけど、誰も助けてくれないの……?
「それで、行かないよね?」
「さすがに呼び出されたら行かなきゃって思ってるけど……」
「へぇ〜? ふぅ〜ん? そっか〜。ヨカッタネオメデトウ」
「何が!?」
そして弁当箱を片付けた大石は、フンと鼻を鳴らしてどこかに行ってしまった。
僕はまた面倒くさいことに巻き込まれたな……と落ち込みながらも、机に突っ伏したのだった。
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