一章 出会い編
第1話 出会い
ここ最近、梅雨に入ったくせに、全然雨が降っていなかった今日になってなんで雨が降るんだよ。』と心の中でぼやきながら、図書館へと続く緩い坂道を登っていた。
僕ー
雨が上がり、無事図書館についた。ささっと返却の手続きを終える。本好きの兄とは違い、僕は図書館にはほぼ無縁だ。物珍しさのあまりぐるぐると見回っては、気になった本を手に取り少し立ち読みをする、そんなことを繰り返していた。そして、本を探しに、図書館の一番奥のブースへと歩を進めた。
そこで僕は運命の出会いをすることになった。
奥にある長机に本に夢中になっている一人の綺麗な女の子を見かけた。窓から漏れている夕日に照らされてこの世の人ではなく女神かなんかのよう見えた。ぼーっと本棚の陰から見つめていた。
そして、彼女が本を読み終え戻しに行こうと席を立つまで不覚にもそのまま呆けていた。
彼女は僕が見ていたのには気が付かなったようだ。『よかった』と心から思った。
そして、彼女のことを考えながら面白そうな本を探す。やっと興味がわきそうな本を見つけその本に手を伸ばす…手がぶつかった。慌てて相手を見るとさっき僕が見ていた女の子だった。
「あっ、ごめんなさい。どうぞ」とオドオドと声をかけた。
すると女の子は少し驚いた顔をしたが、すぐに笑い「この本に興味があるの?読んだらいいよ、面白いから。私は毎日来てるから気にしないで」と言った。
「それじゃあ…」と言って僕は本を取る。そして、会釈をして彼女のもとから去ろうとした。
そしたら「もしかして、さっき私の事みてた?」と聞かれた。図星を突かれココロの中では焦りまくっていた。しかし、顔には出さないように気を付けながら「えっと…うん。君がすごく本に夢中になってから、そんなに面白いのかなって…そう思って。」とごまかしながら言った。ほんとはきれいだから見ていたのだが。
すると女の子は笑った。僕はすごく驚いた。何か悪いことを言っただろうか、と慌てた。しかし、心配は無用だった。
「あなた、ほとんど本を読まないのね?」と笑いながら言った。
「えっ、どうしてわかるんですか?」と思わず聞いてしまった。
そしたら彼女は顔を少し曇らせた。しかしそれは一瞬で、さっきのように笑い「気にしないで!そういえば君、名前なんて言うの?」と問うた。
「北ノ山 令央です。」と戸惑いながら答えてた。「令央か。いい名前だね。私は
こうして僕たちは出会い、運命が動き出した。
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