睡眠
睡眠薬が効くまでに三十分ほどかかるので眠りにつくまでには意外と時間がある。その間に、たくさんの考えが私の脳で駆け巡った。もちろんくだらない考えである。その中で一つだけ他の考えとは身嗜みが違う考えが通った。私は急いで布団から出て、急いで身嗜みの考えをつかまえた。その考えは、奏多が私に考えてくれた作戦で、飛び降りた私が人にぶつかる可能性についてであった。私は飛び降りた時に人にぶつかりたくはなかったので、人がいないかを確認する機会を奏多に設けさせてもらった。勝手に大丈夫だと思っていたが、それは思い込みであった。なぜなら、奏多の作戦だと人が周りにいないかを確認するのは屋上に行く前なので、その間(三分間ほど)に人が通る可能性は十分にある。しかも、第一回の飛び降りの時、私は一分ほど早く着いてしまっていた。ということは、確認してから四分ほどの間があったことになる。人が通るということは、私が人とぶつかる可能性があるということである。言い換えれば、「人がクッションとなって私が助かる可能性がある。」と言い換えることができる。と、思ったが違和感があるのだ。次はその違和感を探すために私はまた考え込んだ。が睡眠薬が効いてきたのか意識が朦朧としてきた。それに伴い、面倒臭いが着いてきてしまった。それからは考えが頭の中を流れていった。「どうせ明日も飛び降りるし、多分たまたま助かったってことでいいや」という奇跡ありきの結論に私はすぐに納得し、そこから意識がなくなるのは数秒もかからなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます