第96話 アウルム、見つかる

「貴方がアウルムさん?」


 アドベントの街を歩いていたら唐突に話しかけられた。

 黒いローブの人?か‥‥‥?


「‥‥‥だとしたらなんですか?」

「良かった、ようやく見つけた‥‥‥」

 すごく安堵した表情だ、よく見ると女性の方かな?


「私はタイタン王国クリューソス公爵派カッティテロス伯爵の使い、フランソワと申します。アナタにはタイタン王国に来ていただきたく‥‥‥」

「すみません」


「この度はありが‥‥‥って、は!? いやいや、え!? あの国王陛下からのご命令なので従っていただきたいのですが‥‥‥?」

「私は王国民ではありません。タイタン王の命令を聞く理由がおありでしょうか?」


「あっ!? えっ!? うそ? えっ?」


「じゃ、そういう事で。失礼します」

「えっ! ちょ、待って!!」

 マントの裾を引っ張られる。


「ちょっと! 離して下さいよ」

「話! 話だけでも聞いてくださいよ!」


「わかったから! 離して!!」


ーーーーーーーーーーーー


「で、フランソワさんとやら。何故俺がタイタン王国に行かねばならないのか?」

「今タイタン王国で大規模な捜索が行われています。タイタンの角でタイタン像を作ったり、戦艦グランホルストを飛ばしたりしたのは貴方でしょう?」


 さて、どう返事したものだろうか?

 正直に言うべきか? しらばっくれるか?

 俺がやった事には間違いないからなぁ。

 仕方ないか‥‥‥。


「‥‥‥正直に言ってください。貴方の為です。私はその為に来たのです」

「わかりました。確かに私がやりました。で、私は王国に行って罰を受けるのですか?」


「えっ!? いや、そんな!! 陛下が貴方と対話したいと‥‥‥、罰なんてとんでもありませんよ!!」

「えっ!? そうなんですか? いろいろやったから最悪処刑になるかと思ってました」


「それは絶対に有り得ませんよ。タイタン王国の救世主と言っても過言じゃないのに、なんでそんなに自己評価が低いんですか‥‥‥?」

「いや、俺は個人的な恨みを晴らしただけだから‥‥‥」

 タイタンの角を引っこ抜いてタイタン像を作ったり、本教会も戦艦も侯爵邸もぶっ壊したりで救世主になるのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る