第42話 カイーロ村②

 村長宅に泊めてもらった翌日。

「この村の剣士クロムだ。お前たちだけで行かせるのは心配だからと村長から頼まれた」


 本当かなぁ‥‥‥? どっちかっていうと見張り役なんじゃ‥‥‥?

 まぁ挨拶はしておこう。


「ありがとうございます。アウルムです」

「シルヴィアよ、よろしくね」


「!! なんて美しいんだ!! シルヴィアさん、俺と結婚‥‥‥」

「あ、ごめんなさい」


 秒でフラれたな。

 あ、クロムさん倒れてる。


「ぐふぅ‥‥‥、またフラれた‥‥‥」

「いや、出会ってすぐ結婚って無理があるでしょ?」


「いや、そんな事はない! 現に俺の師匠は出会ってすぐ結婚したって‥‥‥」

「にしても有名な人ならいざ知らず、知らない人と結婚出来ないでしょう」


「はっ! そういう事か!! ありがとう、少年!」

「あの、そんな事よりスノーウルフを‥‥‥」


「そうだったな。スノーウルフは確認できたのだけで15頭。森に入ろうとするだけで威嚇してくるし、場合によっては襲われる。俺も何頭か倒したが群れとなると危険でな」


「ですね。剣だけで一人では複数の敵に対応するのが難しいですものね?」

「その通りだ! 少年、もしかしてあの本を読んだのか?」


「『冒険者指南 火の巻』ですか?」

「そう! 俺の師匠の本なんだ!!」


「えっ! 俺もイーリエさんの弟子ですよ」

「おぉっ!! じゃあ後輩にあたるのか! えーっと‥‥‥」

「アウルムです。先輩よろしくお願いします」


「わかった、任せとけ! アウルム!」


 こんなところにもイーリエさんの兄弟子がいるとは‥‥‥。すごい人なんだな。

 つーかイーリエさん、結婚してたんだ。


ーーーーーーーーーーーー


「ここら辺からがスノーウルフが縄張りとしているようだ。雪に擬態して襲ってくるから気をつけろよ」

「わかりました」

 

 こう、雪に覆われているとメタルサーチが使いにくいな。ルーやマリは出しにくいし、スキルも使いづらいよなぁ。どうしよう。


「来たわよ! スノーウルフ、何頭か隠れてるわ」

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