第3話 野盗の襲撃

「っ!!!! 違う! 村が襲われているぞ!」


 村が野盗に襲われていた。

 騒がしかったのは悲鳴だったのだ。


「あっ!! お頭! まだいましたぜ!」

「若い女と子供は残さずに攫っていくんだ! 逃すな!」

「あいよぅ!!」


 盗賊みたいな奴らがこちらを見つけて向かってきた。

「なっ!! 逃げるんだ、アウルム!!」

「えっ!! 何が起きてるの!?」


 父さんが立ちはだかり、腰からナイフを抜いた。

「急げ! ここで俺が時間を稼ぐ。安全なところまで逃げろ!」

「いやだ! 父さん!」


「だめだ! 母さんと一緒に逃げろ!」

「‥‥‥! 行くわよ、アウルム!」


 母さんに腕を強く引っ張られた。

「母さん!!」

「父さんの決意を無駄にしてはダメ! 行くわよ」


「父さん! 父さーん!!」

「アウルム!! 母さんを頼んだぞ!」



 どうして‥‥‥

 こんな事になってしまったんだ‥‥‥


 僕たちは逃げた‥‥‥

 懸命に走って逃げた‥‥‥


 が、後方から馬の走る音が聞こえてくる。


「このままじゃ追いつかれそうね、ここからはアウルム。ここからは貴方一人で行きなさい」

「いやだ、母さんまで!!」


 母さんが抱きしめてきた。

「おお、アウルム。どうか無事で‥‥‥」

「母さん! 死んじゃいやだ!!」



「さぁ、行きなさい! アウル‥‥‥」

 グサッ!!

 母さんの胸に矢が刺さった‥‥‥。


「母さーん!! 母さん!!」

「はや‥‥‥逃げな‥‥‥」

 母さんは口から血を吐き、倒れた。


「うわぁーーーーーーーーーーーー!!!!」


 その瞬間、大量の情報が頭に流れ込む。

 これは‥‥‥なんだ?

 知らない世界のようだ。

 見たこともないくらい大きな建物、数えきれないくらいたくさんの人々。


 いや、知っている。


 これは「日本」だ。

 これは「前世の記憶」ってやつだ。


(スキル『金属支配』を取得しました)

 頭の中で変な声が聞こえた‥‥‥。

 金属支配‥‥‥? ってなんだ?

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