転生無双の金属支配者《メタルマスター》

芍薬甘草湯

第1話 村外れの少年 アウルム

「父さん、遅いよ〜! 早く、早く〜!!」

「アウルム、急いでも川は逃げないぞ?」


「だって早く着いて遊びたいんだもん」

「ハハハ」

「そんなに急ぐと転ぶわよ〜!? アウルム」

「大丈夫だよ〜!」


 よく晴れた休息日、親子三人は川に遊びに向かっていた。


「おぉ、アウルム。おはよう。家族でお出掛けかい?」

「おじさん、おはようございます。これから川へ行くんだ!」


「おぉ、嬉しそうに。気をつけてな」

「はーい!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 三人は川に着いた。水は綺麗で澄んでいて、魚もよく釣れる。


「よし、アウルム。父さんと釣り勝負するか」

「うん、負けないよ!」


 二人で釣り糸を垂らす。

 母親はお昼の準備、生活魔法で火を熾した。



「わぁあ、大きい! 引っ張られる〜」

「アウルム! 手を離すなよ、あっ!!」


 バッシャーーン!!!!


 二人とも川に落ちる。幸い川は浅く、流される事はない。


「ハハハ、濡れちゃったな〜」

「あらあら、焚き火をつけたから服を乾かしましょ」


「濡れてて、上手く脱げない〜」

「もう、しょうがない子ね。こんなに大きくなったのに甘えんぼで‥‥‥」

と、言いつつも母親は笑顔でアウルムの濡れた服を脱がしてあげた。


「もう来週は祝福の儀だしなぁ。本当に大きくなったなぁ」

「アウルムはどんな加護が欲しいの?」


 祝福の儀とはこの世界で12歳になった子が『才能』を教会でもらえる儀式の事だ。それは加護であったり、スキルであったり。


「父さんと同じ『農業』が良いかなぁ?」

「もっと良い加護だってたくさんあるんだぞ?」


「いや、父さんと畑仕事したいから‥‥‥」

「そうか、ありがとな。嬉しいよ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 三人は夕暮れ前に帰宅した。この辺には街灯などもちろん無い。この村では太陽と共に寝起きするのが当たり前。蝋燭はもちろんあるが、必要な時しか使えない。お世辞にも裕福とは言えなかった。


 だが、そんな生活でも不便を感じた事は無かった。アウルムの心は満ち足りていた。


 帰り道空を見上げると月が二つうっすらと出ていた。


 この世界は『エウロパ』 地球によく似た異世界である。

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