第31話

魔法が使える?冬音はそう聞いたのか?

じーちゃんとの約束を思い出す。


『もしも魔法を使っていることがばれても落ち着いて。心配はいらない。なんのことだ?と言えば大丈夫だ』


「なんのことだ?」

「あのキャンディ、魔法で出したよね?多分ポケットか、手からお菓子が出せるんじゃない?」

「だから、なんの・・・・・」


なんでだ?なぜここまでばれてる?


「キャンディの包み紙がね、空気に解けるように消えちゃったの。それと実は10年前に同じ味のキャンディを食べたことがあるんだ」

「キャンディの味なんてそんなに変わらないだろ?しかも10年も前なんて」

「ううん、あ、いや。味もそうなんだけど、心が温まるっていうのかな。そんなほっとする味なの」


『それでもどうしても、ばれてしまったら・・・その時は潔く認めなさい。相手が悪人でないならね』


「もし、俺がそんな魔法を使えるなら、冬音はどうするんだ?」

「どうもしないよ?」

「は?」

「でも、私にとっては大事なことなの。お願い、教えて。あのキャンディは麻木くんが魔法で出したもの?」

「・・・・・・・・・・そうだ」

「そっか。うん、やっぱり。ねぇ、麻木くん」

「なんだ?」

「好きです。10年前から。私とお付き合いしてください」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る