光の洗礼⑥
「目を開けなさい、リーミア」
光に包まれたリーミアは何処からか声が聞こえて、リーミアは目を開けると。彼女は見知らぬ空間の中に居た。自分が浮いているのか、立っているのか……それさえも分からない状態だった。
「ここは?」
「貴女は現在、私と同化して精神世界に居るのです」
何処からか声が聞こえるが、声を発する者の姿は見えず、直接脳に言葉を語り掛けて来る様な感じだった。
「あなたは誰ですか?」
「私は光の神です。生前貴女は幼い頃に私と契約を結びました。その契約は転生した貴女にも引き継がれていたのです」
「そうだったの……」
「前世で貴女は国の命運に関わる事態に遭遇し、もう少しで光の聖魔剣を手にすべき所で、貴女達が住む世界でテリオンと呼ばれる。力を発揮させる剣で、相反する光の魔法を使って貴女は我が身を消滅させる奇行を選びました。私は消滅した貴女の魂を現代に蘇らせたのです。この時代に転生させたのも、やがて起きるであろう大きな災いを貴女に防いで貰う為です」
「大きな災い?」
「いずれ時が来れば知る事になるでしょう。今は……光の魔法の鍛錬に励むが良いでしょう。ただし、肉体を消滅させる様な行為で、光の紋様を授けるのは今回限りと言うのは肝に命じて置いてください」
「分かりました。今後はこの様な事は起こしません」
「ならば、再び貴女に光の紋様を授けましょう。その力で国土を回復し王家再興を成し遂げる覚悟があるなら今一度、我が光の力を貴女に授けましょう」
「はい、王家再興の為に光の力を役立たせてください」
「その言葉確かに聞きましたよ。しかし……今度は道を誤ってはなりません。今後貴女は幾度と無く訪れる大きな試練や壁が目の前に迫って来るでしょう。共に歩む信頼出来る仲間達と一緒にそれを乗り越えて、それに見合う対価を手にするのです。さあ……行きなさい」
「大きな試練……」
光が消えて、リーミアが目を開くと、目の前にいる女性が驚いた様子で立っていた。
「お……お見事です。貴女は、ひ……光の紋様を授かりました」
女性は、そう呟くと腰を抜かして、その場に座り込む。
「そうですか?」
ふと、後ろを振り返ると、ティオロやセフィー、大神官以外にも、光の眩しさに驚いた神殿内の神官達が聖堂に集まっていた。
リーミアは光の紋様が授かったかどうか自分では確認出来なった為、皆が居る場所まで戻る。
「私……光の紋様授けられたのですか?」
彼女の言葉に周囲は笑う。
「ああ、そうだよ。額に美しい紋様が刻まれているよ」
セフィーが笑顔で言う。
「おめでとう」
セフィーの隣でティオロが祝いの言葉を伝える。
「一般人の生活が出来なくなってしまったわね」
「君には似合わない生活だよ」
その言葉に彼女は微笑んだ。
「お見事ですリーミア殿、これをご覧下さい」
大神官が側に居た神官から鏡を受け取り、それを彼女に手渡した。
鏡を受け取った彼女は、自分の顔を見つめる。そこには額に不思議な紋様が刻まれていた。ふと……大神官や、上級神官を見ると、同じ様な紋様を額に刻まれて居る。
「その紋様こそ、光の魔法を受け継ぎし者の証です。貴女はこれから11の光の魔法を覚える為に、神殿で鍛錬を行ってもらいます」
「分かりました。ご指導宜しくお願いします」
リーミアは、大神官に向かって深くお辞儀をする。
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