12:自己紹介と集合
配信をやめた私は、リサを起こすと夕食を食べる為に食堂へと向かった。
「あれ⋯⋯?」
「おねーちゃんどうしたの?」
食堂に入るとそこには三人の子供とシスターさん達しかいなかった。 あんなにお昼にはいたのに何でなのだろうか。
「お昼にはあんなにいたのにここには全然いないなって思って⋯⋯」
「そう言えば言っていませんでしたね。
今この孤児院に住んでいる子供自体は少ないのと、お昼にいた子供達はこの辺りに住んでいる方の子供をお預かりしているのですよ」
リサに答えた私の言葉を聞いたシスターさんが疑問に答えてくれた。
「とりあえずご飯を食べる前に皆、自己紹介だけでもしておきましょうか」
そして、その流れで今この孤児院に住んでいる子供達と自己紹介をする事になった。
私の目の前にいるのは目元まで隠れた長いロングヘアをした茶髪の女の子、何故かキラキラとした目で私の事を見ている少し赤みがかったショートヘアの女の子、そして最後に女の子の様に可愛いらしい見た目をした薄い水色のボブの男の子の三人だった。
「はい! じゃああたしから!」
勢い良く手を上げたのはショートヘアの女の子で、見た目からするとリサと同じくらいだろうか。
「あたしのなまえはシェリーだよ!」
「シェリーちゃん、よろしくね。
私がリナで、こっちが妹のリサだよ」
「リサです⋯⋯その、よろしくね!」
「うん! あたしもよろしくね!」
シェリーちゃんはとても人懐っこい子なのか、とても嬉しそうに挨拶をしてくれた。
「次は⋯⋯私、名前はサリー、です。
よろしく、お願いしま、す」
恥ずかしそうにもじもじとしながら自己紹介をしてくれたサリーちゃん、目が隠れているのもあって表情は読み辛いけれど、顔が赤くなっているのは伝わってくる。きっと人見知りなんだろうね。
「最後はボクだね! ボクはリオ! お姉ちゃん達よろしくね!」
最後の男の子であるリオくんは、見るだけでドキッとするような可愛い笑顔でそう言った。
「サリーちゃんにリオくん、よろしくね」
「よろしくね!」
自己紹介が終わるとシスターさんがご飯を取りに来るよう皆に言ったので、私達は自分のご飯を運ぶためにキッチンへ向かった。
♢
「⋯⋯いただきます」
「「「「いただきまーす!」」」」
「焦らないでゆっくり食べるのですよ」
全員で食前の挨拶をすると、各々ご飯を食べ始めた。
今日のご飯は、野菜とソーセージを一緒の煮込んだスープとパンで、スープを一口食べると野菜の甘味と、ソーセージの旨味が口の中で広がってとても美味しく、そしてどこか安心する味だった。
「美味しい⋯⋯」
「おねえちゃん! おいしいね!」
リサはご飯を食べながら笑顔で私にそういった。
「うん、美味しい、美味しいね⋯⋯」
「おねえちゃん、ないてるの?」
あれ?おかしいな、なんでだろう。
「あれっ、何で⋯⋯?」
「良いんですよ、きっと安心したからでしょう⋯⋯今は泣いても、良いんですよ」
「ありがとう、ございます⋯⋯」
シスターさんはそう言うと、私を優しく抱きしめてくれ、涙はしばらくの間止まらず、落ち着いた頃には少しご飯が冷めてしまったけれど、久しぶりの温かいご飯に思わず感動してしまった。
「「「「「ごちそうさまでした」」」」」
「はい、では食器を洗いましょうね」
「はい!」
「はーい!」
そして私とサラは食器の洗い方を教わり、それを片付けると、今日は眠ることにした。
勿論、寝る前にクリーンをかけてから眠ったよ。
♢
朝になり目が覚めた私はシスターさんにリサの事をお願いすると冒険者ギルドへと向かう事にした。
その際に配信を開始しておくと、早速コメントが書き込まれた。
:リナちゃんおはよう、朝からどこかに向かうのかな?
リナ:今から冒険者ギルドへと向かおうと思います!
:おぉ、とうとう冒険者デビューなんだね!
リナ:はい! 今日はエリナさんとアルスさんも一緒に行ってくれるそうなんです!
:それは有り難い話だね!
リナ:ですね!なので、とりあえず少しでも独り立ち出来るように頑張りたいと思います!
:頑張って! 応援してるよ!
リナ:はい! もうすぐギルドに着くので、お返事出来なかったらごめんなさい!
:気にしないでいいよ!
お話をしながらギルドへ向かっていた私はギルドへ到着すると、エリナさんとアルスさんに合流した。
「エリナさん、アルスさんおはようございます!」
「リナ、おはよう」
「リナちゃんおはよう」
「今日は私はどんな依頼を受ければ良いんでしょうか?」
「あー、その事なんだがな、実は今日は依頼を受けるつもりは無いんだ」
「えっ?」
てっきり私は依頼を受けると思っていただけに、何をすれば良いのか分からなくなってしまった。
「そんな事を急に言われてもリナちゃんが理解出来ないわよ」
「うっ、すまん⋯⋯」
「ど、どう言う事ですか?」
「冒険者をするにあたって必要な装備を買おうと思ってな⋯⋯」
「えっ? でも私、そんなお金なんて⋯⋯」
「気にしないでいいぞ、初心者向けの装備なんてそんなに高く無いから心配するな」
「で、でも⋯⋯」
「リナちゃん、アルスは一度言い出したら聞かないのよ、だから気にせず受け取ってあげて」
「わ、分かりました⋯⋯お酒をご馳走する回数が増えそうですね」
「頼むから本当に気にしないでくれ⋯⋯」
そしてそのままアルスさんに連れられて、街一番の鍛治師さんのお店へと向かう事になった。
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