まどろむ宝石、もの言う鏡

深水千世

はじめに

 猫の目をじっと見つめていると、まるで宝石のような美しさにうっとりします。個性あふれる色に命の光を帯びる球体。


 そして、その目は常に私の傍にあり、ありのままの私を見ているのです。


 喜びに震えたとき、取り乱したとき、悲しみに沈むとき、猫の目がじっと私を見つめています。


 視線がかち合った瞬間、その目の中に私は自分の姿を見出すのです。それはまるで美しい、もの言う鏡。ぎくりとするほど、残酷に現実の自分を突きつけてきます。


 このエッセイは様々な猫と共にあった瞬間を切り取っていきたいと思います。あの猫たちの鏡に映っていた私がどんなものであったか、見届けていただけたら幸いです。

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