エウロパにて
柚緒駆
エウロパにて
たまたま郵便局が家の前へテレポートしてきたので、僕は台所で偶然できた世界破壊爆弾を、うっかり彼女の家に送ってしまった。届くかどうかは太陽黒点の具合次第だという。いい加減な話だ。
けれどきっと、世界はいい加減にできているのだろう。でなければ、この口は心にあることしか話さないし、彼女がアイツの嘘を信じることもなかったはず。
太陽は東から昇るといいながら、太陽系に東も西もないのと同じく、真実など限定された条件下における方便でしかない。
本当のことなど、もうどうでもいい。ただこの世界が破滅するなら、彼女の手で終わりを迎えたい。
空では大赤斑が笑っている。僕を馬鹿にするかのように。アンドロイドの相棒は、何百通目かの帰還命令を受信したようだ。
もはや週に一度、焼き芋屋しか訪れない衛星エウロパの辺境で、僕はまた魔導書を読みふける。終末に幸あれ。
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