ラーメン大好き小泉さん
―――本日は翁のブログ記事のみ載せようかと思う―――
―――以下、その記事である。―――
私はとあるアニメ作品を延々と近頃毎日モニタに映していた。
するといつの間にか、その作品のストーリー全般、キャラクターの仕草、立ち居振る舞いまでほとんど覚えるようになっていた。
そのまたアニメは何かといえば、「ラーメン大好き小泉さん」、だ。
私は、いつの間にか、この作品のOPを聴くだけで何故か涙を浮かべるほどになっていた。
演出、つまり視覚効果と音の組み合わせが泣くようなものではないのに頬を濡らす効果を生み出しているようだった。
ヘビーローテーションで観れる作品に限ってこういう現象が現れるのを半分自覚している。
作品を観始める最初の頃は、悠然と笑っている。
そのうちに移入する感情を間違えるのか何なのか…少なくとも「小泉さん」に限って言えば繰り返し私は、眼から涙の粒をしたたらせる。
それはそれとしてこの「小泉さん」だが、アニメ好きな御仁なら周知の通りラーメンに対するトリビアを並べ立てられる内容である。
キャラクターの小泉さんから発するそれはあたかも舎衛城の祇園精舎の釈迦如来の説法のようだ。
私にはその小泉さんに白毫を、青紺色の眼を感じる。
言うまでもなく釈迦如来は三界六道の教主、十方最小、巧妙無礙、億々衆生平等引導の能化である。
流石にそこまで行かなくとも小泉如来の説法は画面の、彼女よりほかのキャラクターにあまり通じないにも関わらず、
画面越しに我々の心を打つ内容に溢れている。
しかし万人をあまねく照らすわけではない。
しかしながらやはり小泉如来は華奢な身体に大きな胃袋を宿し、ラーメン的初果を得ている。
如来であるから当然であるが。
畢竟画面の中のキャラクターは如来の偈を聞いていたが頭には入ってこなかったのだろう。さながら小泉如来以外の登場人物は糞尿をもたない無自覚な屎尿処理係であろう。
そのまた無自覚な屎尿処理係を通じて小泉如来の説教を受けたのは、言うまでもなく画面越しの我々である。そして聴法を続けさせていただけた未熟ものの中の内、幾人かの精鋭部隊を、如来は、常寂光土へ普遍意識の境地へ導いてくださるはずだ。
このように「ラーメン大好き小泉さん」は大変ありがたい作品なのである。
一度、小泉如来の光に照らされてみると良い。
涅槃を少し、あるいは大いに感じられるだろう。
何度も観たけれども、そのように感じなかった…という人は私にとって縁なき衆生というほかない。
――――・・・・・・・―――――
―――翁は考えた、このような偉そうな記事を載せていいものか…。しかし、やはりこれは彼には克服しないといけない壁であった。(えい、載せてしまえ…右顧左眄しているよりはよっぽどマシだ……逆効果かもしれない文章セラピィ)――――
(作者註:これは仏教を扱っていますが僕自身、特別仏教と接しているというわけではございません。今回は、(今回も?)エンタメの一種だと思っておりますので、そういう風にお考え下さい。念のため言っておきますと、登場人物が屎尿処理係になっているのは下敷きの参作を参照したところ、そう扱うしか道がなかったからです、すみません。)
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