第414話 そこは水だろ…

 ラーメンを食べた。

 うっかりすると10年以上前から食べてみたいと思っていたラーメン屋、並ぶのが嫌でスルーしていたのだ。

 出先で、たまたま時間が空いたので無理だろうと思いながら店の前を通ったら

「ん? 駐車場空いてるな」

 そんなわけで5分と待たずに店内へ通された。

 塩ラーメン一択の思い切った店である、店員の態度も良い、さすが繁盛店。

「お待たせしました」

(いえいえ、そんなに待たされてないよ)

 塩ラーメン好きな桜雪、上機嫌である。

「うん…海老風味か…」

 思ったのだ…桜雪、そんなにエビ好きじゃない。

 エビが自己主張しなきゃ並んでもいいな~。


 運ばれたお冷を半分飲んで、テーブルの上に置かれた水差しから、お冷を足した…。

「えっ?」

 まさかの茶色‼

 出されたのは氷水なのに…テーブルの上に用意された水差しには烏龍茶?

「烏龍茶の水割り…」

 まぁいいかと飲んだら

「烏龍茶じゃねぇ‼ 飲んだことねぇお茶だ‼」

(知らん茶の水割り…)


 なんか釈然としないまま店を出ようとするとバカっぽい家族が店の入り口を塞いでいた。

 イラッとしたので、店のドアを開ける時、旦那の肩にドアがぶつかる様に開けた。

 夫婦で睨んできたので睨み返して

「出入口塞ぐな」

 一言、言って外に出た。


 八つ当たりって、こういうことさ。

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