第189話 暇になると何をしていいか解らなくなる

 バイト先が暇であるらしい。

 土日ともに来なくていいとのことである。

 そもそも違法なのだが、ブラックなので仕方ない。

 2日間とか休んだことが久しくない。

 そう…やることがない。


 そんなわけで買ったまま着ていない服を着て、外に出た。

 車を走らせるも目的が無い。

「俺…黒しか買わねぇんだな…」

 立ち寄った店の鏡を見ると漆黒である。

 黒マントである。

「漂うベイダー感…もしくは任三郎」


 ふと思い出してパイ屋さんに行くことにした。

 バイト先に持って行ってやろうと思い全種1個を購入した。

 9種類である。

 運ばれた箱は…デカかった。

「自分で食うわけでもないし…いいか」

 でバイト先に向かったわけだが途中で気づいたのだ。

 自分が食わせたいのはシフトに入っている女子大生だけであり、その他はどうでもいい。

 それどころか、そもそもシフトから外された僕がなぜパイを差し入れなければならないのか?

 急激に腹が立ったのだ。

「全部、自分で食う…」

 頑張って3個は食べた…限界だ…無駄にデケェ…ミルフィーユ感を感じねぇ…生クリームの密度が濃い。


 浴日、会社に3個持って行ったが、1個食ったら胸やけした。

 残りは人にあげた。


「さぁ…今夜が山だ…後3個…頑張れ俺、食べ物を棄てないで‼」

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