第163話 疲労とはミスを誘発する

 着任挨拶回りで忙しい…。

 現状の業務は継続で引継ぎ業務だけが増えたわけで移動中も電話が鳴る鳴る…。

「社用携帯、ぶっ壊れねぇかな…」


 そんな中…「アレ…名刺忘れた?」

 車で社長と移動中、パーキングエリアで気づいたのだ。

 スーツの内ポケットに、いつも入れている名刺入れがない。

 その代わりに小銭入れが出てきた。

 同じような大きさ、同じ色。

 完全に会社を出るときに間違えて持ってきたわけだ。


 客先の新任ご挨拶で名刺がねぇとか?


 客先の社長と副社長が名刺交換をと名刺を差し出す…どう乗り切る俺‼

「口頭のご挨拶になって申し訳ありません、正式な着任が12/1からですので名刺が間に合いませんでした、取り急ぎ最重要な取引様を優先的にと思い御社様へ、ご挨拶までとお伺いしました。正式着任後、改めてお伺いしたときに名刺をお渡しいたしたく失礼を承知で…云々…」


 乗り切ったな俺‼

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