第157話 相対性理論

 今年で50歳になる。

 振り返れば変わった人生であったと思う。

 イベントが盛沢山であったと思う。


 正直に言えば『疲れた』である。

 もし…あの時に、このサイトを偶然見つけなければ、過去を振り返ることすら無かったのかもしれない。

 クビ同然で会社を辞めて、何もしていなかった頃に、このサイトを見つけて『お湯らーめん』の第一話を書いてみた、その後100を超える作品を書いているわけだ。


 僕が過去を振り返ったのは書くためであり、本来は、そんな性格ではない気もする。


 転職して窓の外を眺めると、1週間前には緑だった木々が紅葉に変わっている。

 そもそも1週間前が緑ではなかったのかもしれない。


 時間の流れが速く感じるのは歳をとった証拠である。

 時間の感じ方に個人差・年齢差があるのであれば、それは物理なのかもしれない。

 つまり、僕は25歳の人の倍の速度で生きているのだ。


 歳を重ねると思い出が減る、というか無くなる。


 僕の過去など、もはや取るに足らない事象なのだ。

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