第154話 ソーシャル・ディスタンス

 現在、人との距離感が大事な時代なのである…。


 レジに並んでいた。

 ここで待てシールの上に皆並んでいるわけだ。

 当然、僕の後も距離を置いて並んでいるはず……。

 腹の具合が悪かったのだ。

 いや…日常的に良くはないのが僕の内蔵である。

 肛門括約筋の微妙な調整、排出量の調整、静音調整…。

(やるなら今だ‼)

 音のない方法で…僕は…そっと目を閉じ…やさしく…放屁した…。


 そっと振り返ると……

 後にピッタリと、お爺さんが……いた。


「姿は見えずとも気配は感じる…残り香までは消せはしない…それが屁というものだ」

 守ろうソーシャルディスタンス‼

 みんなの為に、自分の為に‼

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