第101話 影と幻影

 日差しが強い。

 梅雨も明け夏である。

 部屋にも日差しが入り、所々で影を作り出す。

 そんなわけないのだが…

 黒い影が逝ってしまった猫に見えることもある。

(クロさん?…なわけないか…)


 白い本棚に木の陰が作り出しシルエットが目の端で揺れた影、一瞬猫かと思ってしまった。

 立ち上がって影を指でなぞり…

 一瞬の錯覚は、きっと僕の心の影なんだ。


 人の心にも陰があり、思い出は影になるのかもしれない。

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