5-7
「ん……あれ? ここは……?」
ベッドの上だった。それも、お姫様が眠るようなベッドの上。一面真っ白の部屋に、これまた真っ白なレースの付いたベッドがポツンと部屋の真ん中に置かれていた。
ここは夢の中? 冬森は思ったが、夢の中というには意識がはっきりとしすぎているし……。
いや、夢ではない。
「――――こんばんは、凛檎ちゃん」
魔女がいた。
冬森の足先に、厚手の黒いマントを着用し、つばの広い先の尖った、マントと同色の帽子を着用した魔女がちょこんと女の子座りでそこにはいた。
歳は冬森と同じくらい、肌は白く大人と子供が入り混じったような顔立ちをしていて、銀の長く伸びたストレートの髪が帽子からはみ出ている。
「……あなたは……まさか……」
「うん――――私は
「けれど、いつの間に……」
「実は今の私は本体じゃなくて、『
「……私をここに呼び出したのなら、何かしらの理由があるはずよね?」
「どうか、私の正体は京ちゃんに隠して」
哀しそうな顔で目を背ける
「私から宮西くんに言うつもりなんてないわよ。それは安心して」
「……ほっ、本当!?」
ハッと顔を上げた
「た・だ・し――――自分から
「……え、でも…………」
「でもじゃない。しっかりと包み隠さずに、お姉ちゃんが『
「……わっ、私……京ちゃんに嫌われたくないよぉ……。絶対に気持ち悪がられるし……。京ちゃんの中では私、こんな化け物じゃなくて理想のお姉ちゃんで…………」
そして冬森にすがるように、子供が甘えるように
だが、
「ふんっ」
「キャッ!」
そんな
「怖い、ですって? 本当に怖いのはどっちなのよ? 正体も分からないような人格とずっと一緒に過ごす方がよっぽど怖いわよ」
「……うっ…………うぅ……」
「……けどっ、私……京ちゃんに嫌われたら……」
「大丈夫よ、ちゃんと事情を説明すればきっと分かってくれるから。宮西くんが優しいって、一番知ってるのは誰よ?」
説得されて、何か言いたそうに冬森に顔を向ける
「…………分かった、全部話すよ。全部、包み隠さずに……」
「……そっ、ならよかった」
「ありがとう。凛檎ちゃんみたいな女の子に知り合えて本当に良かったです」
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