えく姉さんのディストピア♡

天音えくれあ♡

第零闇 記憶

ある朝、目覚めると私は寝心地の良いベッドで寝ていた。


「ここは、どこだ? いやいや! 私の部屋だよ」


おかしい……『自分の部屋』そんな当たり前の事が今、一瞬分からない感覚に……どゆこと?


そして、暫くすると今度は一気に蘇る忌まわしき記憶。


私は前世、『魔界の女帝』であった。


勇者『ディカティンポ』に見事にやられた……。魔界に君臨し、好き放題、やりたい放題……楽しかったのに。


「くそ……」


そう呟いて、私はベッドから起き上がり洗面所へ。歯を磨き、顔を洗う。


こんな記憶が蘇ったところで、私の今の人間界での生活には、なにも変化は起きない。起こしようもない。あの頃のような魔界の力も使えず、非力な人間に成り下がり、労働を強いられているのだ。おまけに搾取される側の人間だ。


現在私は、人間のメス『えくれあ♡』として、少しの希望とそれなりの不満を抱えながら日々暮らしている。


記憶が蘇って、まだ三日。なんの疑問もなく人間として暮らしてきたが、今、魔界の女帝として、この人間界を見ると、なんともおかしな事やら怒れる事やらが溢れかえっているではないかッ!人間めっ!くだらん生き物よ……。って、私も今は人間なんだよねぇ〜がっくり。




この物語は魔界の女帝の記憶を持つ、ただの人間えくれあ♡の、人間に対する日々の憤りや疑問、おちょくりを綴ったものである。



「さてさて、今日も仕事だ」


私は今日も自転車で職場へ向かう。

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