第十話   【向かいの檻】

俺は中々助けに来ないアキを待つこの二週間、呪いについて学び始めた、決してアキを呪おうとしている訳ではあるい。


色々あって俺は創作魔法

違和感の影(MP26)を覚えた!

しかし、一つ問題がある。それは作者も忘れて居そうなMPにある…俺のMPは16…つまりこのスキルを使えない!

だが問題は無い、俺は知らぬ間にレベルアップをしていたのだ!

これが俺の新しいステータスだ!!!(要所抜粋)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

LV5 HP178 MP38

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

まぁこんな誰も覚えて無いようなステータスに興味あるの例のK位だろうから早速効果を紹介しよう!!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

効果

発射系の魔法

相手の皮膚に張り付き、その部位に違和感を感じさせる、この魔法は無機物を貫通する。

違和感は一定の時間の経過毎に強くなる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

って訳だ!

正直地味だが、この魔法を自分に試して観たところ、かなり我慢強く堪えても2時間が限界だった!

札のような物なので取ろうと思えばいつでも取れるが、甲冑とかの相手に使えば集中力と隙を天秤にかける二択を迫る事が出来る。


違和感を言葉で表すのなら、二時間ほど放置した場合のこの魔法は、ずぶ濡れの靴下とスニーカーでランニング、泥まみれの服、ハッカ油等が混ざったかのような最低な違和感を相手にぶつける事が出来る!


当然看守にもこっそり試した、まさに痒い所に手が届かないみたいな顔をした看守を檻越しに眺めながらもしゃつくパンの味は高級生食パンだった。


そして監獄にも慣れて来たある日、手紙が風に乗って舞い降りて来た。

きっとアキからだ…


{向かい側の檻を見て}


「ん……ん?…?」



祈るように向かい側の檻を指の隙間から覗く。



向かい側の檻にいたのはアキだった…


アキはてへぺろみたいな顔をしてこっちを見ていた。


…アイツ捕まりやがった!!!


「アキィ!!!」


「待ってください!成果が無い訳じゃないんです!」

彼女は服からドヤ顔で何かを取り出した、これは板?板…

「スマホじゃん!!!!!!!!」


「その通り!呑気に温泉入って飯食べてるだけじゃ無いんです!!」


「いや何にせよ早く助けに来てよ!怖かったよ!」


「よーしよしよし!怖かったね!」


「というか捕まってるんじゃないよ!!助けれてないじょん!!!」


「そんなことより取り敢えず脱獄計画を話し合いましょう!」


「当てがあるのか?」


「この緊急時なのて特別に教えましょう…」

緊急時ってわかってるなら温泉入るな!!

と俺は大きな声で呟いた


「まぁまぁ…でもこれからカスミに世界に一つだけの私しか知らないのオリジナル魔法を教えちゃうのです!」


「ふーんどんな魔法よ」


「簡単に言うと作った風に視覚情報を送らせる魔法です!カスミの使ってたドローンより使い勝手もいいし、風が本体なので耐久、侵入力!全てが上です!」


アキが立ち上がり拳を強く握りその拳を突き上げ顔を隠す。


「その魔法の名は!ビジョンウィリング!」


「そういうお年頃か…」


「私17です」


「…異名の数?」


「年齢」


よく考えると確かにアキは俺より身長が高かった…


それよりアキは良い年して恥ずかしくないのか?

それともこの世界だと普通…?


いやいや違う!!

そんなことよりもっと大切な事を聞かなくてはならない。


「格好良いでしょう!感謝するのです!」




「消費MPは?」
















「126です」









「…38」



「…カスミの罪を数えた?刑期?短期?カスミ元気?」


「俺のMPだよォ!!」


「短気ィ!!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

もろもろの話を済ませた後。

とりあえずプリズンの構造調査はアキに任せた。


地下四階から下が牢獄スペースでこの牢獄は地下六階にある。


地下三階~二階は地上まで吹き抜けになっている運動場や、受刑者の労働場所等がある、ここまでは俺も長い間ここにいるから把握している。


問題はその先だ。

カスミは地下一階を偵察している。


「カスミ!」


「どうしたアキ!」


「食堂です!ここの警備員達の!」


シュッ!(無言で違和感の影を飛ばす音)



「うわ!何この感触!気持ち悪!!」




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「よし!こんなところだな!」


風に乗せて持ってきた食堂の料理をパクつくアキを横目に作った脱獄RTAを説明しよう!


まずこの刑務所脱獄計画には三つの難問がある。


この監獄の第一関門は地下三階から上へと繋がっているパーテルノステル式の魔術エレベーターへと繋がっている門だ。

其処には鎧を着けた警備員が二人いる。


第二関門はエレベーター

ここで地上一階へと移動するため、途中で刑務官などが入って来たら破滅は避けられない。


そして第三関門の魔封石の破壊

魔封石がこの刑務所内のワープを禁じていて、この刑務所の外にも魔封石が張り巡らされている。

とりあえず監獄の半径500メートルくらいまでのワープを禁止する魔封石が地上一階のセキュリティルームにあるので、そこの魔封石を破壊する。


このようにこの刑務所は現実並にかなり難しい警備システムとなっている。


この難関に対する俺の作戦がこれだ!


まず労働の時間の召集で地下三階まで移動して、こっそりとアキの偵察で第一関門の警備が入れ替わりのタイミングを見計らい、一人消えた時に俺が違和感の影を飛ばし、余りの気持ち悪さに鎧を脱いだ警備の目を盗みエレベーターに乗る。


そしてエレベーターの死角に立ち、人が入って来ない事を祈る。


警備員等はあまり頻繁にエレベーターに乗らないのを確認しているので大丈夫だろう。


その後アキが砂を風のやつに乗せて鍵穴に詰めてピッキングをする。


ここはアキの今までの練習で成功は確認している。


そして部屋に入り魔封石を破壊したら事前にアキが風の奴で確認した監獄のワープ可能なできるだけ遠くまでワープし、逃げる。


この一連の流れ、絶対怪しい!俺を貶めた奴がいるはずだ!

すぐ近くにマーズ一大きい町がある、とりあえず後の事はそこで考える。


完璧な作戦だな!


「でもエレベーターは運では?」


さっきまで料理をパクついていた口を動かし痛い所を突くゲーミング美食家の話を無視する俺。


シュッ!


「ちょっと!無言でこそばゆくなる奴放たないでください!」


とにもかくにも計画は決まった。

明日に備えてもう寝よう。


アキに教えてもらった風に乗せて背中に上手く張り付いた違和感の影を取ろうと背中をまさぐるアキを見て愉快な気分になった俺は硬いベッドで目を閉じた



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




「おい!起きろォ!」

力強い声に起こされる。


「はい」


檻越しに見えたのは最初に質問をした刑務官だった。


まだ計画の時間、労働タイムはまだのはずだ

毛布きもちぃ。


「お前の処刑の日が決まった!今日だ!こい!」



処刑!?!?


動揺を隠せず考えのまとまらない頭を抱え、とりあえず檻の外へ向かう。


手錠。

どうしよう


空っぽな脳から飛び出た答えははこれだった


「肘ィ!」

 

トスッ


肘で刑務官の首を撃つ!

非力な俺でも首を狙えば気絶させれるはずだ!


しかし違った

「お前ェ!」

人間か!?アキと同じ女性とは思えない首の骨格をしている!

「さらにもう一発!」

ドガッ

次は良い感じに入ったが…?


刑務官は目眩をしている程度ですぐ開いた目は俺を虫さんを見るかの如く見つめた。


しばらくの沈黙



その時!

刑務官の力が抜け、地面に倒れた。


隣から物音がする!

そこにいたのはアキだった!

アキは目を擦りながら何が起こったか分かってないような顔をしていた。

防衛本能か!?

とりあえずアキにピッキングで手錠を解いてもらおう!

「アキ!起きろ!」


「…ツションカ?」

ロシアの牛肉加工品をなぜ?


刑務官の持つ鍵の番号に目を滑らせる!

アキの檻の鍵を見つけ、扉を開けると言い放つ!


「予定変更だ!今すぐ脱獄するぞ!」


脱獄RTAに再走は許されない!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る