第34話 ご褒美?のプールデート!⑥
無事に水着を取り戻したあたしは、祐二くんと一緒にプールサイドスイーツなるものを堪能することにした。
そもそもプールサイドにスイーツなんてあるのか? なんて思われてしまうかもしれないけれど、実は、このプールにはあったりする。
もともとは運営を市が行っていたのだが、財政負担につながったという点から、地元に拠点を構えていたエンターテインメントを手掛けるクリエイティブ企業が買収するに至った。その結果、こうやってプールの季節には、プールに来てもらうだけでなく、しっかりとプールサイドで楽しめるスイーツなどでお客の心を鷲掴みにしようとしたのだ。
もちろん、普通にかき氷とか焼きそば、たこ焼きという定番商品も扱ってはいるものの、それだけで終わらないのがこの企業の面白いところだった。
クリエイティブ企業ということだけあって、百貨店の物産展や緑地公園を活用した近年話題のマルシェ(様々な地元のB級グルメの店舗が参加して行われる食の祭典!)などを企画しているだけあって、プールに来なければ食べられない夏限定のスイーツを様々な企業に頼んで、出店しているらしい。週替わりということもあって、人気を博しているらしい。
それだけではない。問題は冬場をどうするか、だ。もちろん、冬場といえば、このようなプールは何もできなくなり、不人気極まりないのだが、そこも考えたのがこの企業だった。プールを使えない期間は、スケート場にしてお客を呼んでしまおうということにしたらしい。結果、冬は冬でお客が集まるようになった。さらに複数回来る人用の年間パスポートというものまで売り始めたのだ。
おかげで、低価格で何度も来たくなるプールとして人気に拍車がかかり、いまや、年中、休日は混雑していたりする。
さて、話を戻そう。
あたしもSNSでスイーツのお店のことは知っていた。こう見えて、あたしも甘いものは大好きな女の子なのだ。
「祐二くん、今週は『ワッフル』特集なんだよ!」
「ワッフル? この暑い時期にか?」
「ふふふっ! 甘い! 祐二くんは甘いよ! かき氷の上に掛けるコンデンスミルク並みに甘い!」
「うわ。それはダダ甘だな……」
いや、そんなにげんなりしないでほしいのだが……。
乙女はこういう男の子の反応にいつも困ってしまうのだ。全国の男性諸君は、お相手の女の子の心を傷つけないためにも、興味ありそうにうなずく方法を学んでおくべきだよ!
「へー、そうなんだ!(抑揚をつけて)」
これは最強の言葉なのだから!
「ワッフルってどんなイメージ?」
「マネケン」
「うあ。まあ、普通はそうなるか……」
「うん。違うのか?」
「まあ、あれもワッフルなんだけど、どちらかというとあれはベルギーワッフルといわれるタイプだし、ドーナツのような感覚で片手で食べれるってところに利便性があるのよね。でも、ここで売ってるワッフルはどちらかというとパンケーキのような感じ。まあ、プレートの上にふわカリの焼きたてワッフルとフルーツとかアイスを乗せて、それをフォークとナイフで食べるみたいな?」
「うーん。なるほど、勉強になる!」
「友理奈ちゃんはそういうところ、連れて行ったりしないの?」
「え!? あ、まあ、あいつもそういうのは興味関心はあるみたいだけれど、なかなか行く機会がないというか……」
「へぇ……最近はブティックホテルとかは規制も緩いから行きやすいみたいだね」
「あはは……でも、月イチ……って何の話だよ!」
「いやぁ、本当にお盛んよねぇ……。家で週末婚のような通い妻化している友理奈ちゃんが日曜日に幸せオーラ全開でボーッと頬を赤らめながら、ダイニングに来た時に走る女の間の戦慄はぜひとも祐二くんも味わっておくべきね……」
「いや、それだけ聞くだけでも、俺が言ったら修羅場化するのは目に見えてるような気がするんだけれど……」
「いや、修羅場化させてあげたいんだけど……」
「頼む! それだけは勘弁してくれ!」
「じゃあ、ここは驕りってことで♪」
「うぐっ! 分かったよ!」
「やったー!」
あたしは喜んで、お店の方に祐二くんの腕を引っ張っていった。
ここのワッフル人気が高いから、本当に食べたかったんだよね! それに友理奈ちゃんが未経験ってことは、あたしと祐二くんが初体験ってことでしょ!?
何だか、いいじゃない、それ!
お店は仮設店舗的な感じになっていた。毎週出店する企業が変わるのだから、厨房なども自由度が利くようにしておくべきだからだろう。
パラソルのついたテラス席が10組ほどおかれていて、座れるようになっていた。
お店のには数組、待っている客がいたが、運よく捌けたようで、次はあたしたちの番となる。
「ようやくあたしたちの番だね!」
「うん。そうだな」
うん! 何だか恋人ムーブ出せていて、いいんじゃない?
これってあたしにとってついに月が回ってきているって感じじゃないかしら。
あたしの心の中はもう嬉しさでいっぱいになっている。
「おや? 洞泉じゃないか」
「え………?」
その声色にあたしは不安になり、祐二くんのいる反対の方に目をやる。
そこには――――、
「黒崎先生!? と、本妻!?」
「こら……。誰が本妻よ……ちゃんと名前で呼びなさいよ」
そう。そこには今日のプランを一緒に立案した仲間であるはずの黒崎先生と、あたしの天敵でもある摩耶ちゃんが水着姿で立っていたのであった。
え、何で何で何でなの~~~~~~~~~~~~~~っ!?!?!?
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