第33話 ご褒美?のプールデート!②

「昨日はお楽しみでしたか?」


 あたしは朝、玄関から出た後いきなりそういった。

 祐二くんはやや疲れたような表情を私にして見せた。


「江奈……お前なぁ……。友理奈をいじめすぎるなよ?」

「え? あっちが胸が小さいとか言ってきたから、ちょっとサイズを測ってあげたんだよ」

「ちょっとねぇ……。ちょっとだけいじめたら、あんなに欲求不満な女が出来上がるというのか?」

「ああ、一応、あたしは最後まで行かせてあげたんだけどねぇ……。でも、それだけじゃあ、満足できない体になってるんだろうねぇ……。摩耶ちゃんってエッチな女の子になってるよね」

「そういうことを言うなって……。本人もそこは気づいてはいるんだろうけれど、どうしようもないんだろうな……。どうやら、これも呪いに関係するみたいだな……。あいつ、だんだん性欲が強くなってきている気がするんだよな」

「うあ。それは何だか嫌かも……。そんなにエッチなのに、セックスできないってなかなか厳しい感じなの?」

「おい……。何てこと訊くんだよ……」

「だって、同い年の女の子の性事情とか気になるじゃない?」

「そういうお年頃なのか?」

「そういうお年頃!」


 あたしはニカッと笑って見せる。

 ますます祐二くんは苦虫を嚙んだような顔をする。

 ま、そんなに気にしてもらわなくてもいいんだけどね。


「それよりも、今日はあたしたち二人でプールなんだから、しっかりとあたしを持て成してよね!」

「うあ。何だか、その言い方はすごく心配だな……。何も起こらないことを祈ってるよ」


 いや、普通に起こっちゃうんだよなぁ……、これが。

 てか、あたしが起こすことになるんだよねぇ……。


「さ、切符買って、行くよ!」


 あたしは気を取り直すようにそう言って、券売機に向かった。




 プールに着くと、夏休みに入ったということもあって、繁盛しているようだった。

 入場券を購入する受付に長い列ができていた。

 が、あたしがそんなへまをするはずがない。


「すごい人数だな……」

「本当ね! でも、安心して、あたしには強い味方があるんだから!」


 そういうと、あたしはバッグの中から、チケットを二枚取り出す。

 こうなることを予想して、あたしは前売りチケットを購入しておいたのだ。

 しかも、日付指定限定ではなく、期間指定されているだけのものだ。


「さ、行こう!」

「おう!」


 最近、新しくし直されたプールは、複合施設のような施設に変化していた。

 さすがに普通のプールだけなら、意味がないよねぇ。もちろん、それでも来てくれるかとは思うんだけど、それだけでは、夏以外はお荷物以外の何でもない。その時期でも利益を生み出せるようにしようとした結果、このような複合施設と化したのだろう。

 そのおかげもあってか、売り上げは上々らしい。プールの利用者数もこれまでよりも増えているらしく、最近、朝の情報番組で取り上げられていたくらいだ。

 入り口を入ると、そのままあたしと祐二くんは別々の更衣室に向かい、着替えを済ませる。

 あたしはもう、インナーとして着替えてあったので、早々とプールサイドへと出てくる。

 純白のビキニと日焼け防止用に水色のラッシュガードを羽織っている。

 最近伸ばしつつあった髪はポニーテールのように後ろで一束にして、清潔感あふれる装いだ。

 もちろん、日焼け止めも塗るという念の入れようである。

 あたしも久々のプールで気分がたまっているのかもしれない。

 あたりをキョロキョロと見渡して、祐二くんが出てきていないかを確認する。


「うーん。どうやらまだ出てきてないみたいだなぁ……。男なのに、着替えるのに時間がかかるのかしら……」


 そんなキョロキョロとしている姿は、そっち系を期待する輩には目立ったのか、三人の男性があたしの前に近づいてくる。


「あれぇ? どうしたの? お友達か誰かを探しているのかな?」


 気軽に話しかけてくるナンパ野郎A。

 見た目からしてアロハシャツなんかを着こんでいる時点でなかなかの陽キャ全開のようだ。それに焼けた肌ときたもんだから、確実に陽キャ認定してしまった。


「え? あ、まあ、そんな感じです」

「君みたいな可愛い子を一人にするなんて、なんてお友達なんだろうねぇ」


 あたしの右側を押さえるような位置取りを取るナンパ野郎B。

 こいつは腹筋がバッキバキに日焼け状態と、どこぞのAV男優かよ!? とツッコミを入れたくなるような体格だ。


「暇なんだったら、ちょっとでいいから、俺らと遊ばない?」


 今度はあたしの左側を押さえてくるナンパ野郎C。

 こいつはさわやか系のつもりなんだろうけれど、すでにパンツのあたりが膨らんでいることから、遊ぶというのがエッチなことを意味していることくらい容易に想像がついた。


「あー、間に合ってます。それにもうすぐ来ますから」

「でも、なかなか来てくれないじゃん? 俺たちがボディーガード兼遊び相手って感じでどうかな?」


 ナンパ野郎Aはあたしの手を掴んでくる。

 かなり力があるようで、あたしが振り払おうとしても簡単には振りほどけない。

 ナンパ野郎たちはニヤニヤとしながらも、両サイドのBとCがあたしの両腕を掴んでくる。


「悲鳴を上げますよ?」

「ここで、口を閉ざせば叫べないよね?」

「そんなことできるわけがな……んぐっ!?」


 あたしが強気でいたが、ナンパ野郎どもはどうやらそんなに甘くなかったようだ。

 あたしの口をナンパ野郎Aが押さえつけ、そのまま、更衣室の隣にあるシャワー室に連れていかれた。

 その視線の先に、ようやく更衣室から出てきた祐二くんの姿が映った。


「んん~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」

「くそっ! ちったぁ、黙れ!」


 嫌っ! こんなの嫌っ! 助けてよ! 祐二くん!!

 あたしは届くかどうかわからない念を、祐二くんに向かって送り続けた。

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