第24話 お出掛けデート(ケダモノ♂vsケダモノ♀)⑤

     3


 ツゥ―――――――――――――………

 鼻の右の穴から熱いものが垂れてくる。

 わ、あたしは今、何を見せられているのだろう……。


「あ、あの……こ、これって私、要ります!?」


 あたしは隣でモニターに食らいつくように見入っている黒崎先生に抗議する。

 黒崎先生は視線を逸らさずに、


「まあ、洞泉さんは処女だから、刺激強かったかしら?」


 ムッカ―――――――――ッ!!!

 あたしは好きで処女を貫いているわけじゃない!

 そりゃ、祐二くんにいつでも捧げられる準備はできている!

 でも、祐二くんは摩耶ちゃんのことが好きなんだもんな~~~~~~~~~!!

 で、今日は一日、祐二くんと摩耶ちゃんのデートを尾行しているのだが、明らかに海浜公園で摩耶ちゃんの身体ができていたよね!?

 あの蕩けた表情を夕陽に染まっているからって、見逃すわけがない。

 あれは今までの凛々しい摩耶財閥のご令嬢という風には見えなかったわ。

 もう、完全にメスの顔だったもの。

 あたしの知っている摩耶ちゃんの顔とは異なったわ。あんな顔を摩耶ちゃんのお父様が見ちゃったらきっと勘当ものだわ……。

 で、私はその後、黒崎先生と藍那先輩に連れられて、くだんのラブホテルにいてたりする。

 しかも、なぜか食料を頼んで、テーブルに並べ、それを食べながら大型テレビで祐二くんと摩耶ちゃんの初めて(結婚したわけじゃないから初夜とは言わないわよね……)を鑑賞(黒崎先生談)中だったりするのである。


「ほぉっ!? 摩耶もやるねぇ……」

「まさか、あんなに積極的になってしまうなんて……」


 いやいやいやいやいや! 黒崎先生と藍那先輩!? おかしくないですか!? どうして、祐二くんと摩耶ちゃんの情事を大公開されてるんですか!?

 それよりもあたしが疑問に思ったことを声に出す。


「これ、どうやって撮影しているんですか!?」

「ん? そんなの決まってるじゃない。私の使い魔に尾行させておいたから、そのままホテルに入ったところで、部屋に一緒に入っただけよ」

「いや、当たり前のことみたいに言うのおかしくないですか!? だって、ぷ、プライベートじゃないですか!?」


 あたしが言ってることはド正論だと思う。

 しかし、黒崎先生はフゥーと頭を左右に振りながら、ため息をつく。


「これは、あくまで教室としての監督責任です! 君たちが一つ屋根の下で健全な男女の関係でいてることを監督する責任があるんです!」

「高校生でセックスしようとしていることのどこが健全なんですか!」

「いや、コイツなんかしまくってるじゃない。神楽と……」


 あたしの猛抗議に対して、黒崎先生は藍那先輩に指をさしながら、さも当たり前のように言い返してくる。


「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! どうしてこんなところに不潔な女がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ちょ、ちょっと!? 江奈!? 酷いわ! ウチはそんな不潔やあらへん! ちゃんとセックスするときは、身体を綺麗にしてからしかせぇへんで!」

「物理的な問題じゃなくて、精神的な問題です!」

「江奈も神楽のこと妄想しながら、一人エッチしてるやないか……」

「うぐぅ!?」


 そ、それを今、ここで言い出すか!?


「あ、あれは呪いなので仕方がないのです!」

「なかなか激しいって、久遠寺が言うとったで……。声が漏れないように自分のパンティーを口に咥え……」

「ちょ、ちょっと!? まるで見ているような口ぶりで言わないでくださいよ!?」


 てか、本当に見られていたのかしら!?

 藍那先輩の言っていることは本当だったりするのだが、ここで認められるわけがない!


「いや、やっとるやん?」

「藍那先輩、見たことあるんですか?」

「え? 3日前、洗濯物を江奈の部屋に運んでほしいって言われて持ってったら、床に唾液で湿った下着が落ち取ったで? ちゃんと洗濯機に入れとかなアカンで」


 あたしは思わず固まってしまった……。

 あ、あれ? 何でかな……。何であたし、涙が零れてきてるんだろう………。


「ま、そういうわけだから、食事でも食べながら、初体験を見ておこうよ。ところで、藍那さん、神楽っていつもあんなに激しいの?」


 そう。

 目の前で展開されているのは、AV顔負けの腰使いをするケモノと、それに抗えずにオホ声を上げるご令嬢というAV以上にAVのようなライブ配信画像だったのだ。


「あんなに攻めてもらえたことは、あれへんなぁ……。あんな深く……太い……ああっ!! ウチもしてもらいたいのぉ~~~~~!!!」


 いや、普通に変態ですか!?

 でも、あたしも思わず見入ってしまう。

 摩耶ちゃんは今日が初めてのはずだ。にもかかわらず、この堕ち方だ。

 もしかして、祐二くんってテクニシャンだったりする!? あたしは胸のドキドキが止まらない。

 もしも、もしもだよ……。あたしが祐二くんにこんな攻めをされたら、耐えられるわけない! きっと身体が壊れちゃう!


「さすがに淫夢魔サキュバスの血が混ざっている私でもあれは堕ちるかも……」


 黒崎先生がボソリと漏らした一言をあたしは聞き逃さなかった。

 ちょっと待って!? そんなに凄いの!? サキュバスが堕ちる性行為って何!?

 そんなの絶対に耐えられるわけないじゃない! そもそも明らかに摩耶ちゃんって精神的にも堕ちてるよね!? あれ、屈しちゃってるよね!?

 そのあと、騎乗位、杭打ち……と黒崎先生と藍那先輩が色々と映像で映し出されるプレイを解説されるという何とも興奮しちゃ………じゃなくて、落ち着かないひと時が朝まで続いた。

 二人がベッドで寄り添いあいながら、寝ている姿に何だかモヤモヤする気持ちが生まれてしまう。

 あの場所は今まで、あたしが一番近かったのに……。世界樹で愛を誓った女の子が、摩耶ちゃんじゃなければ……私だったら………。

 そんな気持ちが少し芽生えるが、今は抑えておくことにする。

 でも、結婚したわけじゃないから、略奪しても法に触れるわけじゃないよね!

 幼馴染という立ち位置で攻めるのもアリよね!

 あたしはうんうんとうなずく。

 そんな横で藍那先輩は見飽きたのかベッドで寝てしまっている。そして、黒崎先生はというと、大型テレビを見つめながら、


「アイツら、6個とも使い切りやがった……。しかも、最後はそれで何発もするだなんて……。破れたらどうするつもりだったんだよ……」


 頭を抱えている。

 どうやら、マッサージで下準備をしたのが自分であることを忘れているような言い草だ。

 でも、男女ってあんなに激しく愛し合えちゃうんだな……。

 祐二くん、あたしも初めてもらってくれないかな…………。て、やっぱダメかな。

 あたしは一つため息をついて、ソファにもたれて仮眠を取ることにした。

 でも、あんなの見せられたら、ドキドキして寝れないじゃない……。

 あたしは横になりながら、悪態を付きたかった………。

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