第4話 俺が休みの日にやらかしてくれたな
休憩室のドアを開けて、ゆっくり成田 佳代子は入ってくる。
「ここに座って。何のことかわかっているだろう」いつもは、昼休みなど
の休憩に使われるテーブル前に店長は、幾分怖い顔をして座っている。
「花村さんのことですか⁈ 私、別に間違ったこと言っていません」
確かに、成田の言いたいこともわかるが…。しかし、昨日俺の休みの時にやらかしてくれたなあ。
いち早く、昨日ピクルス(凛子)からは同期の成田と揉めて店を辞めるかもしれないと泣きそうな文面が送られてきていた。まだ、俺がつうてん様とは知らないから素直な気持ちが伝わる。
翌朝早く店に行って、さすがに何もしらないふりをしていたが。他のスタッフが俺の顔をみるなり昨日の出来事を詳細に語ってくれた。
花村さんが品出しの担当だったんですが賞味期限まじかのものが残っていたんですね。そのことを成田さんは、自分が間違えたものを人のせいにしているといちゃもんづけから始まって、花村さんの為にいちいちメモに書いたりといったことや、今までは暗黙の了解もいちいち説明しなくてはならないことに腹をたてていたんです。
面と向かって時給泥棒ってまで言い放って。
彼女は負けず嫌いでしかも花村さんと同期だから、彼女の仕事ぶりは見ていて歯がゆかったんでしょうね。
花村さんも何も言い返さず「ごめんなさい、今日は早退します」と言って帰っていったわ。まあ、確かに彼女がいなくても仕事はまわるんだけど。なんだか、スタッフ間に気まずい空気がずっと漂っていた。
◇
「店内に入ったすぐに昨日の事はすぐ俺の耳に入った。今日も花村はシフトに入っているのに来ていないじゃないか」
「花村さんが、いなくても何も困らなかったですよ」
「そういう問題じゃないだろ。それに彼女のためもあるが、初歩でつまづいたんだったら原点に戻って見直すチャンスを上げてもいいじゃないのか?」
「……なんで私たちまでつきあわなきゃならないんですか。店長はいろんな店の改革をしていて、名をあげたいだけなんでしょう」
「……」顔が険しくなっていた。
「ちょっと、着替えて待ってろ」そう店長は言い放って部屋を出ていった。
なんで、まだ終了時間じゃないのに着替えなきゃならないの?もしかして、花村を迎えにいくとかいわないでしょうね。ぜったーい。嫌よ。なんで、あんな愚図に謝らなきゃならないの。私、皆が思っていることを代弁しただけなのに…なんで、私だけが悪者になるわけ。
「着替えたか?」店長は一足早く、私服に着替えて声をかける。
「花村さんに謝りに行けっていうんですか‼ 絶対に、嫌です」
「そうじゃない。お前は言いたいこと言って満足かもしれないが、店の空気が重たい。少し、空気の入れ替えをするためだ」
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