第62話 事後、そして… 2
「でね、あら?カミーユ?」
学園での一時。
そうなると正室は最低でも准男爵家の家格が必要となってくる。騎士爵位家息女の私では釣り合わない。
例え側室でも、彼の妻でいられるのならば…。
そう思っていたら、何と我が家も陞爵される事となって…ブヌア家が准男爵になると…。
騎士隊長としての長年の父の功績。
皇太子殿下腹心である兄の地位。
皇太子殿下乳母として仕えてきた母。
一介の騎士爵位家としては多少重い役割を担ってるのは確かだけど…。
今回のブヌア家の陞爵は、詰まる所ロディへの褒賞の一部でしかない。私を正室として留め置く為、帝国が彼の要望に応えた形になってる。
ロディの欲求を満たせる要因が、それくらいしかなかったみたい。
何せ金銭欲も物欲も乏しく、食欲も量があれば良いみたいで…。色事に至っては、私のみの一点張りで…。
まぁ、隠れ
思う度に赤面してる。今回もそう。
「で、カミーユ。私の話、聞いてた?」
「ダメダメ。今、カミーユは女の幸せ独り占めだもの」
キャサリンの冷やかしに、やっぱり私は赤面してしまう。
「ちょっと?私、そんなんじゃ…」
「そんな幸せオーラダダ漏れで、どの口が言ってるのかしら?」
コラリーもそう。
しかも、最近は2人のみならずクラスメート女子みんなから
今、『奇跡のテイマー』『皇太子の
そして今回の我が家の陞爵は、図らずもこの事実に箔を付ける形になってしまった。
「…幸せオーラって…、あの…、そんなに?」
「ハイハイ、ご馳走様」
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「何故話すのですか?これではサプライズになりませんわ」
「無理言わないでくれ、リスティア。私がファブリに隠し事出来ると思うか?」
そして笑いを堪えきれない
「リスティア、ファブリは
「嘘をつけとは言いません。でも『聞くな』って言える筈ですわ」
「成る程、確かに。これは殿下が悪いなぁ」
「
「あんな顔をしている
「あら?私はそんなに恐い形相をしておりますか?
よもや、しているとは言われませんよね?お兄様。
「うむ、まぁ、彼氏でも逃げ出す程の表情である事は間違いないと思うぞ、リス…」
ギギ…ギ、ギギ…。
音を立てる様に振り向く私を見て、
失礼な話ですわ!
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「噂の真偽を確かめてみたんだが、
「伯爵様?ですか。
ミリシア討伐、そしてベルン王国との戦争。
ロディはまともに戦闘すら行わずに両国を抑え込み、また幾つかの城塞を落としてさえみせた。
双方に殆ど死傷者を出さず、それでも此方の勝利を敵国すら納得させる働きを成したって。
従魔のフェンリル、グリフォンに加え、今回は
また『
対戦相手を絶望の淵に落とすワンマンアーミー。
まともに戦えば、敗死必然。
レッサーとは言えドラゴンの群れを瞬殺出来るのだから。
また、居住区に傷一つ付けず城塞を完全破壊出来る魔法の行使。つまり制限が無い場合の魔法の破壊力は、都市すら地図から消し去る事も出来得ると、私ですら想像出来る。
唯一の救いは、ロディが相手の逃げを認めてる事。それどころか推奨すらしてる。そして、相対した敵軍に死者がいない事実。
本当にあの子らしい。
「人間相手はゴメンって事で」
ロディは、これまでも盗賊討伐系の依頼は受けていない。確かにエラム周辺は、ビリー親分が目を光らせてるから、半端な山賊等は太刀打ち出来ないでいるけど。
「悪党にも通すべき筋ってモンがあらぁな」
だからビリー親分の一党はギルドは勿論、御領主アンバー辺境伯にも一目置かれてる。
「もう、上位貴族だなぁ、彼奴」
何せ伯爵位だもの。
知らない人が聞けば、御領主と同じ爵位=同格と思いそう。
まぁ、辺境伯は帝国では侯爵と同等で、国境守備を担う軍事力を有してるけど。
領地も、現3公のガスター公爵家より遥かに広大。そりゃあ人の住めないトコはあるんだけどね。
「あ、でも、それじゃカミーユさんは?」
「それな。何でもブヌア家も陞爵し准男爵家になるんだと。それもまたロディの褒賞の1つだとよ」
「あの子らしい。そんなにも
「全くだ。どうも他家の嫁を全て拒否したって話だからな」
帝国中の娘が憧れる
どうやら、これもまた箔がついたみたいね。
ナンパが日常茶飯事だった
素敵な甥っ子と、その婚約者に幸あれ。
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