第3話 王都にて
怜君と仕方なく分かれた後、"固定転移結晶"?で王都と呼ばれる場所にテレポート?いや転移をしました。その場所は見る感じ中世ヨーロッパの城の広間といった感じです。
正直こんな場所に連れてこられて、不安で気が狂ってしまいそうです。普段は私と同じような境遇で私の何倍もしっかりしている怜君がいるお陰で落ち着いていることができます。怜君は幼い時の経済界のパーティで会ったのが最初です、他のグループのどの方よりも古くからの付き合いで親友と呼べるのは怜君だけです。誰も私を白銀雪という一人の人間として見てくれない、白銀グループの跡継ぎ候補の一人としか見ていないし、明らかにいやらしい視線を向けてくる人が多すぎます。けど怜君は私にもごく普通に接してくれます。そんな彼がこの場にいない、また後で会おうと約束しましたが不安です、しかもあの人たちの話しを聞く限り、あの森は危険地帯のようです。
けど、怜君はあの模様?魔法陣を見た時からの反応が変です。それが何かを知っているような口ぶり、何時そんなことを知ったのかは定かではないですが、あの冷静な状態ならきっと来てくれるはずです。それまで私は心を落ち着けてこの状況を停滞あわよくば好転させることができれば万々歳と言ったところです。
「あなた方にはこのステータスカードを支給いたします、これにはあなたのステータス並びにスキルが表記されています、そしてこちらで冒険者登録をさせていただきました。一番下のEランクですが皆さんならすぐにA,Bランクに到達し、Sランク冒険者になる日も近いことでしょう」
王女さんが何事もなかったかのようにみんなにカードを手渡し、説明を始めました。
聞いた限りSランクが最上級の冒険者らしく、Aランクとも一線を画す存在のようです。ランク昇格の方法は一定数の任務をこなした上で昇格試験を受けそれに合格する、もしくは多大な功績、ダンジョンの制覇などをした際に上層部の審議会によって決められることを知りました。仕組みとしてはまともそうですね、上層部と癒着でも起きていなければですが。
私は自分のステータスと確認するべくカードを見た。
名前 白銀雪
年齢 16歳
出身地 日本
スキル 魔法創造 氷幻世界 異空間BOX(小)
使用可能魔法 ~上級氷属性魔法
~中級火属性魔法
~中級聖属性魔法
体力 B
魔力 S
腕力 C
頭脳 A
魔法適正 S
物理適正 C
どう見ても前衛向きではなく、一人で戦うには少しどころか、だいぶ難しそうな感じですね。前衛が耐えていただければ強力そうです。
「ただ問題は・・・」
(魔法の詳細が分かりません、多分呪文的なものを唱えるのでしょうけどそんなことを私が知るわけもないです、どこかで知識を得る場所を探し出さないとですね)
少々考え込んでいると王女の話も終わりかけていますね。
「・・・というわけで私からの説明は以上ですのであとは各自がご自由に冒険者ギルドに行ってクエストを受注し、クリアするもよし、近衛騎士団に交じって訓練するもよし、自由にしてください、では私はこれで」
そう言うと王女はフッと消えてしまいました。
「白銀さん、クエストを受けに行って、ついでにこの世界をしない?」
クラスでも仲のいい方がお誘いしてくれましたが今は他に優先すべきことがあります。
「すみません、調べ事がしたいのでまた次の機会にでも一緒に行きましょう」
「白銀さんらしいね、なにか分かれば教えてね~」
そう言うと何人かでグループを作って広間を出ていきました。
「白銀さん、僕と一緒に騎士団と練習をしないかい?」
「いえ、別件がありますのでお断りさせていただきます」
坂本君が話しかけていましたが、即拒否。色眼鏡で人を見ることしかできず、下心丸出しの人は嫌いです。
私はそのまま坂本君をスルーして、広間をでて入口に控えているメイドの方に尋ねてみます。
「この王宮で魔法の知識などを得ることのできる場所はありますか?」
「はい、ございますよ、案内させていただきますね」
「ありがとうございます」
私はメイドさんについていきました。
「ここでございます」
「案内していただき、ありがとうございます」
「いえ、これが私たちの仕事ですので、何かあればお呼びください。ここで控えておりますので」
数分歩いて到着した重厚な木製の扉を開けるとそこは広間よりは多少狭いですが、壁際には本棚があり、分野ごとに分類されているのが把握できます。
取り敢えずはこの世界の歴史書を1冊、魔法とは何か?という本を一冊、ステータスカードに書いてあった使用可能な魔法の魔法書を中央の机に運び、読み始めた。
それから数日の間は一日の大半をその書庫で過ごし、書物を読み漁りながら、片手間に魔法を実践していった。5日目の時に気になるタイトルの本を見つけた。
《世界ヲ救ッタ者ノ軌跡》エリシア・リベル・レノア 共著
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます