2度目の異世界召喚を気ままに生きたい!(願望)

ぺぽ

プロローグ

「はぁ…終わったのか…」


 絢爛豪華な広間で仲間と一緒に立っている俺はこの10数年激動の人生を振り返る。

 いつも通り学校から帰り、課題を済ませ、晩飯を食べて、風呂には入り、遊び、寝て目が覚めたら見知らぬ場所に居て、日本人ではない人たちから異世界に召喚されたことを説明され、王道のラノベ展開のように勇者にされ、この世界で出会った仲間と旅を重ね、時に苦しみ、時に喜びを分かち合い進んできて、その果てに世界を混沌の時代へと陥れようとしていた魔王を倒した…


「お疲れ様、皆」

 そう言ってこの10数年一緒に旅をした仲間を見渡す。

 聖女のエリシア、聖騎士のリベル、賢者のレノア、フェンリルのルー、青龍のミズチ、麒麟のリンネ皆、目だった外傷はエリシアの魔法で塞いでいるが疲労困憊といった感じで、神獣達は眠ってしまっている、かくいう俺も同じような状態である。


「これでやっとレイが元の世界に帰れるわね」

「そうだな、俺らとしては寂しいことだがな」

「仕方ありません、こちらの世界の都合で十余年縛ってしまったのですからね」


「まぁ帰るまでにまだ時間はあるし、気楽に行こうよ」

俺はこの世界に来た時に魔王を倒したら元の世界…日本に還してもらうように王族と契約した。

王都に帰れば、契約が履行され俺は日本に還れる。


「帰りは皆で遊びまくるぞ!」

「貴方という人は…」

「レイらしいと言えば、そうだがな」

「同意です」

「え、なに?皆もっとテンション上げてこ~!」

「「「オー」」」

「なんで皆カタコトなの?」


 そして皆で笑う。この世界で出会った仲間たちとの絆の証であり、このパーティーの空気でもある。


「取り敢えず外に出て、転移するか」


 そう言うと神獣たちを異空間の遊び部屋に入れ、広間から立ち去ろうとしたら突然足元に目映い光と共に魔方陣が出現した。忘れもしない王宮の広間の床に画かれた召喚、送還用の魔方陣だ。


「ここまでこき使って、用が終われば直ぐバイバイか…やっぱり腐ってやがるなあの一族は」

「レイ!」


 エリシアが魔王と戦う前の時よりも青冷めた表情でこちらを見ている。


「すまん、どうやらもうお別れのようだ、ルー達の異空間の所有権を移したからあいつらの望むようにさせてくれ、それと十数年間お前たちといれたからかこそ楽しく過ごせたよ…じゃあな」

「「「「レイ!」」」

 

泣きそうになっている仲間たちに笑顔で手を振った。自分が泣かないように…




目が覚めると俺は自分の家の自分の部屋の自分のベッドに居た…あの日寝たときと同じ寝間着、ただ時間が次の日の朝になっていただけ、夢と言えばそれでおしまいだがそうとは思えない程の記憶が脳内に残っているのだ…一夜の夢にしてはスケールのでかい夢だ。あの世界が現実なのかそれとも夢なのか区別はつかない。


“今は”


俺は学校に行くために準備を始めた。





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