ギャグオチSS集

仇花七夕

#1

正月。俺は炬燵に両足を突っ込み、毒にも薬にもならないお正月特番とやらをぼんやり眺めていた。


実家から送られてきたミカンを消費すべく、炬燵の天板に積み上げられたオレンジのピラミッドに手を伸ばす。


ミカンの皮、昨夜飲んだビール缶、年末年始で読み漁った小説達。その全てが片付けろと主張しているが、その程度では俺を炬燵から出すことは出来ない。


「ふぅ・・・・・・ん?」


得体の知れない倦怠感の中で、俺の目に一冊の小説が飛び込んだ。

そしてその直後、俺はおもむろに手をオレンジ色に伸ばし、ビール缶の上に置いた。

口角が上がるのを感じながら、確かな満足感を覚えた。




















――アルミ缶の上にあるミカン

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る