無人島 Lv.20

 話を終え、エドゥアルドに部屋の案内をした。


「この二階の部屋を使ってくれ」

「廊下が広い。綺麗に整っていますし、よくこの島にこれだけの規模のお屋敷を作られましたね。どのような力を使ったのです?」


「俺には『無人島開発スキル』があるんだよ。この力があれば、なんだって出来る。家だけじゃない、湖や畑だって作れる。いろんな道具だって楽勝さ」


 静かにうなずくエドゥアルドだったが、興味津々そうだった。


「詳細をお暇がある時で良いので教えて欲しいです」

「分かった。明日、時間が取れそうなら言うよ」

「お願いします」


 ぺこりと丁寧に頭を下げてくる。

 礼儀正しいな。


「じゃあ、ここがエドゥアルドの部屋ね」

「清潔感がありますね。でも……ベッドは何もないのですね」


「すまん。マットすらないよ。肝心の『糸』が手に入らなくてね、確か、モンスターの『ピンクネザーランドドワーフ』か『マンドラゴラ』を倒すしかなかったんだが、今はココナツの繊維で何とかしようとして……色々あったんだった」


 そう、色々ありすぎた。

 特にワーグナーの襲来で島開発どころではなかった。けれど、撃退に成功したし帝国もしばらくは大人しいはずだ。


「それは興味深いですね。自分も協力しましょう」

「本当かい。それは助かるよ。じゃあ、そろそろ俺も戻るよ。おやすみ」

「おやすみなさいです」


 俺は軽くて手を振って自室を後にした。




 ――翌日。




 謎の怪鳥による鳴き声により、俺は目を覚ました。……今の“ヌワッ”ってなんだよ。この島には、鳥系のモンスターでもいるのだろうか。……ありえるな。あの『洞窟ダンジョン』があったくらいだから『ハーピィ』とか『グリフォン』、大穴で『ドラゴン系』だろうか。



 自室を出て、階段で一階へ降りると、朝っぱらから掃除をしているアルフレッドの姿があった。手には『黄金の箒ゴルトブルーム』。ピカピカ光ってまぶしいなぁ!


 更に窓を拭くスコルの姿。

 ピョコピョコと機敏に動く後姿が猫のように可愛い。


「二人ともおはよう」


「ラスティ様、おはようございます。今日は、珍しく朝に起きられましたね」

「さすがに俺ばかりダラダラ寝ていられないよ」


 そうだ、今日からは開発を優先させていくんだ。その為にはまずは緊急会議を開く。人数も多くなったし、話し合いが必要だ。


「おはようございます、ラスティさん……」

「おう、って、元気ないな。どうした?」

「……そのぅ、実は……」


 スコルは、モジモジと話し辛そうに顔を赤くする。視線も泳いでいるし、どうしたんだ。熱でもあるのか?


「風邪でも引いたか?」

「いえ、そうではないのです! あのですね、今、窓を拭いていたんです」

「お、おう。そうだな……それがどうした?」


 ぴらっと見せてくる“布切れ”……ん? まてよ、布ってまだアイテムとしては入手していなかったはず。どこから手に入れた?


「大きな声では言えないんですが……これ、わ、わたしのスカートの一部です」

「は、はぁ!?」

「だ、だ、だって……雑巾とかないんですもん。服から切り取るしかなくて……」



 そういえば、今日のスコルはフトモモを大胆に露出している。元々、エルフの民族衣装でロングスカートだったが、今やミニスカート。あまりに自然で気づかなかったな。



「そ、そこまでしなくても! でも、今の方が可愛いよ、スコル」

「か……可愛いですか」



 ますます顔を赤くして、俯いていた。なんだか色気が増したなぁ……これは目のやり場に困るヤツだ。けど、これは健脚で魅力的だ。


「ああ、うん。そ、それより……悪い事をさせちゃったね。新しい服を買わなくちゃな」

「いえ、このままで大丈夫です! ラスティさんに見て欲しいので」

「お、おう」


 けど、雑巾にさせちゃったのは申し訳ない。なんとかして服を手に入れたいな。



 ◆



 せかっく早起きしたのだが、ハヴァマールとエドゥアルドが起きて来なかった。ので、俺はその間に開発を進める事にした。


 庭に出て、晴天に恵まれた今日に感謝する。



 [所持アイテム]

  木材×2447

  石×1079

  土×8

  たいまつ×1

  鉄×122

  剣(未鑑定)×2

  鈍器(未鑑定)×1

  ロウソク×20

  体力回復ポーション改×25



 まずは木材と石を使用して島開発スキルで『小屋』を二つ追加。家の庭にポンポンと設置。これで食糧庫が更に増えたし、今後は備品も保管していく。物はきちんと整理整頓しておかないとな。



 無人島Lv.18 → 無人島Lv.20



 さて、次は何を作ろうか――。

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