温泉 Lv.1

 地道に攻撃を加え、グリンブルスティを撃破すると『黄金の毛×1』と『イノシシの肉×30』、そして『剣(未鑑定)』アイテムをゲットした。


 ここにきて、初めて装備アイテムを入手した。しかも、未鑑定とな?


「そのアイテムは、鑑定する必要があるのです」

「どうすればいい、アルフレッド」

「ええ、通常は帝国などにあるアイテムショップで鑑定アイテムを購入するか、あるいは鑑定士に依頼します。すると、アイテムが使用できるようになるのです」



 なるほどな。

 だが、そんな便利なお店なんて無人島にない。


「他に方法はないのか?」

「鑑定スキルを使用できるのは『鑑定士』かハイレベルの『商人』だけですな」



 ありゃ……未鑑定アイテムは、しばらくは使えそうにないな。でも、食糧がたくさん手に入ったし、結果オーライ。これだけあれば、しばらくは食っていける。それに、この無人島には、あんなデケェモンスターがいるって事が分かった。


 しかも、あの洞窟は奥があるようだったし、もしかしたらダンジョンがあるのかもしれない。そう考えていると、スコルが俺とアルフレッドにヒールをくれた。


「一応、傷を癒しておきますねっ」


 おかげで体力も疲労も回復。

 これでまた動けるな。



 ◆



 帰る前に『洞窟』で石を採掘しまくり、手持ちが200個近くになった。もう重量もきつい。石はとにかく重いからなぁ、なんとか重量も増やせるといいんだが。


 帰り道で更に『木材』と『土』を入手。スコルやアルフレッドもラズベリーの収集や材料の入手に協力してくれた。


 こうして三人で力を合わせれば、あっと言う間だったな。



 [無人島][Lv.4]

 [開発状況]

  沼 Lv.1

  小屋 Lv.1

  湖 Lv.1

  キャンプファイヤー Lv.1


 [所持アイテム]

  木材×163

  石×221

  土×77

  剣(未鑑定)×1

  黄金の毛×1


 [武器]

  ゲイルチュール


 [食料]

  サザエ×3

  イノシシの肉×40

  ラズベリー×40



 所有アイテムもかなり増え、充実し始めていた。しかも拠点には『小屋』もあれば『湖』もある。キャンプファイヤーもあるから、もう割と普通に住めるな。



「ただいま~っと」

「やっと小屋に着きましたね♪」



 ご機嫌なスコルは、日が暮れる前に海へ水浴びに行くという。そっちだと汚れも落ちないだろうと、俺は知恵を絞った。


 ――ああ、そうだ島開発の『温泉』くらいなら、そんな材料を消費しない。俺は、土を20個消費。少し歩いた森の影に温泉を設置した。なんとお湯も張っていた。手を入れて確認すると、丁度良い温度だった。



「スコル、もう海へ行く必要はないぞ」

「へ……うわ! 温泉じゃないですか!! こんな湯気が立って……温泉♪ 温泉♪」


 え……スコルさん。なんかエルフの民族衣装を脱ぎ始めて――って、は、裸に!! こっちに気づいていない!? ま、まさかぁぁぁ……!


「ちょ、スコル!」


 だめだ、俺の声に反応しない。

 そして、スコルはついに……!



「温泉だああああああああああああ…………!!!」



 ぴょ~~~んと飛び跳ね、俺の作った温泉に落ちた。ドボンとお湯飛沫が上がる。……なってこった、こんな喜んで貰えるとは思わなかったぞ。



「お、おい」

「あははははは~~~! 気持ちい!! 温泉、最高ッ!!」



 まるで子供のようにはしゃぐスコル。こんなに温泉好きだったとはな。まあ、確かにずっと海水浴だったもんなあ。


 突っ立ってスコルを見守っていると、急に静かになった。



「ん、どうしたスコル」

「…………あ、あの。わたし……なんで裸に」


「気づいてなかったのかよ! 自分で脱いで自分で飛び込んだクセに」

「…………はぅ」



 顔を真っ赤にし、温泉に沈んでいくスコル。大丈夫、湯気のおかげで肝心なところは見えていなかった。


「じゃあ、俺は食事の準備でもするよ。ごゆっくり」

「……は、はい」

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