電車と悪夢

 電車は何事もなく進んだ筈だった。


 瞬きをする間に世界は変わった。


 一瞬にして人は皆消え、明かりもなく永遠の闇に包まれた。


 その静けさと暗さがとても怖かった。


 急いでここから出ようと電車の扉に触れたら、物音がした。更に扉は開かない。


 血の気が引いた。


 体の震えはやまず、顔面は蒼白になった。


 怖い。恐ろしい。


 それは少しずつこちらに近づいてきた。そして黄色い瞳が見えたとき私の意識は遠のいた。


 正体は黒猫。ひどい悪夢にうなされて、駅員に起こされた。

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