第52日目 目指しているクラス 5月
今年のクラスは、男の子は真面目な子で女の子は可愛い子が多いなと思う。わたしは、学校でのキャラを“可愛いふわふわ女子”に決めているので、もちろんこの中に入るのだ、と思っている。
だがしかし、家でのわたしは“親父女子”と言われている。そう呼ぶ母のネーミングセンスは、かなり悪い。
つまり、お父さんと言うことすること考えまでもが全て似ているからだそうだ。
わたしは、かなり努力して学校ではこの“可愛いふわふわ女子”を演じている。その為には、時間と努力が必要だ。
「まつ毛長いね! 」
「え!? そうかな? 髪の毛の毛量も多いから」
だなんて友だちには言っているが、それは違う。毎朝晩“まつ毛の育毛剤”を塗っているお陰である。まつ毛を伸ばすテクなんて、絶対に教えたくない。私だけの秘密。だって教えてしまうと、みんなまつ毛が長くなっちゃうでしょ?! わたしの日々の努力が、実を結ぶのだ。そして、
「まつ毛ほっぺについてるよ。取ってあげるね」
「あ、ありがとぉ💕」
と言われた日には、本当は気が気でない。えー! わたしのまつ毛ちゃんが、取れただって? 家に帰ってきて、まつ毛のチェック。右目の左から3番目のまつ毛が居なくなっていた。1本1本の場所、まつ毛の番地まで把握するぐらい大切にしていたのに。また、頑張らなければ。
今日の日記は、こんな内容だった。
「私は私たちのクラスを初めて見たとき可愛い女子が多いな~と思いました。先生が、めざしているクラスは昨日のクラスでいえば、どのクラスですか?」
『そうなんですね。
昨日のクラスって、なんだ? 去年ですね?
1年3組ですね。』
1年3組? それって、去年のわたしのクラスで“正田クラス”じゃん。 目指してるの? 何でだろ。でも、悪い気は、しないよね。
そんなことを考えながら、今朝もわたしはまつ毛に育毛剤を塗りつけていた。
すると、洗面台にお父さんがやって来た。
「女子は朝から大変だなぁ。今年は、女子力高い系が多いのか? 」
と、言いながらわたしの後ろでお父さんが頭に何かを塗りつけている。
「それ、何塗ってるの? 」
「ん? これ、育毛剤」
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