2020年4月20日(月)-1
「とうとうこの日がきちまったあああ! 登校日ぃいい! 小学校の! 初の! 登校日いいい! なのに外は雨えええ!」
思えば去年の、娘が年長さんになってすぐの遠足は嵐で、運動会は台風で二日続けて順延で、卒園式も寒かった。雨女とか雨男的な存在がいるんじゃないのかな、この学年。
「どぉしよおお! 普通の靴で行かせるべき? 長靴? 結構な距離を歩くから長靴だとしんどいかもしれないけど、結構降っているから普通の靴だと確実に中までぐっしょり濡れる! というか服装どうしよう!? 登校班の集合場所まで送るとして息子はどうする!? 連れてく!? この微妙に天気悪い中を!? どぉしよおおお!」
「落ち着け」
わたしがあまりにぎゃあぎゃあうるさいせいか、仕事に行く用意を調えた夫が一言さくっと言った。
「なるようにしかならないよ。とにかく寝坊ばっかりだった子供たちが今日に限って早く起きたんだから御の字じゃん? じゃ、おれ仕事行くね~」
「行ってらっしゃいぃいいい~! いぃいい~よなぁああ~仕事を理由に子供たちの世話ぶん投げられる奴ぁあああ!」
テンパるあまり筋違いの恨みすら夫が出て行った玄関に投げるわたし。見苦しいったらありゃしない。
テンパる母を横目に娘はのんびり卵掛けご飯を食べている。食べるのが遅すぎて半分残った。
「ぐぅ、やっぱり雨が結構強い……! いい、○子ちゃん、ランドセルに替えの靴下を入れておくから、学校に着いたら履き替えてね。ええと、提出する書類は全部持たせた、連絡帳もある、上履きも持った。あとはぁ~……ええと……ええとぉ……!」
テンパりすぎてぐるぐるその場を回り始める佐倉紫32歳。なんなら腕までぐるぐる回る。
「ママ~、30分になったよ」
「あああああ集合時間は40分だからそろそろ行こうか。雨はやっぱり強いし……○市! 悪いがお留守番してもらっていい? だいたい……そう、コココッシーが終わるまでには帰ってくるから。お留守番できる?」
「うん、いいよ~」
まだ年中の息子を一人家に置いて行くのもどうかと思うが、わたしの精神状態と雨を考えると、連れ出すのもなんだか危険な気がして恐ろしい。
息子は水たまりが大好きで、見かけたらとりあえず入っていき水を蹴散らすorダイブするという行動を取るので、おとなしく隣に立っていてくれる保証はいっさいないのだ。
「鍵かけておくからね! あと今日は君も幼稚園ね! OK!?」
「はーい」
お利口さんに返事をして卵掛けご飯を食べる息子。視線はEテレに釘付けだから大丈夫だとは思うけれど。
うおおお、帰ってくるまでなんとか息子を子守していてくれ! ピタ♪ゴラ♪スイッチ♪ そして、コココッシー!
「じゃ行ってきまーす!」
ということで玄関に鍵をかけ、いざ雨の中、娘とともに登校班の集合場所へ!
魔王に挑みに行くパーティーというわけでもあるまいに。
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