笑いのヒトキワ荘

あなた:(腕時計に向かって)……CQ、CQ、チェックメイト・キング・トゥー。これより侵入する。



ガラガラガラ……(教室に入った音)



崇期:おはようございます。あれ? 遅刻? 見たことないお顔だけど。転校生かな? お名前を伺ってもいいですかね?



あなた:遅刻でない事はこの学校の制服を着てない事で解っていただけますね。

……え、ハダカ?

(二分後)

失礼しました。謎の転校生、田中ざくれろです。

『タナカアザ・キュレロ』は古代メラスティック語で『地球危機一髪』という意味です。



崇期:では、今日は特別にこの教室で授業受けていただいていいですよ。空いた席に座って。私の授業はちとハードですよ。ついてこられるかな〜? 前の学校では成績どうだったの?



あなた:オール5だった時もあればオール1だった時もありました。

必殺技はSFファンタジーですので、授業がハードSFでもついていける自信はあります。

あ、この席でいいんですね、

すみませんが、安全ベルトと脱出ボタンは何処ですか。



崇期:そうなの。ガハハハ。大丈夫大丈夫。半分怯えて、半分楽しむくらいでやってね。あ、このクラスでやっていくんだったら、係を決めなきゃね。役割分担だよ。そういう決まりだから。


 百葉箱撤去反対運動係 

 小さい石鹸重ね係

 白線の外のピラニアの世話係


とか、いろいろあるんだよ。え? 白線の外にいるのはワニでもサメでもなくピラニアなんだよ。うちの学校ではそうなの。とにかく、やってみたい係を言ってみて。



あなた:じゃあ、クラスの生徒がスタンド使いに覚醒した時の『スタンド名づけ係』を。

え、もうその係の人はいるんですか。

じゃあ『授業中に火を噴くエレキギターをかき鳴らしまくる係』をさせてください。



崇期:じゃあ、よろしくねー。では、さっそく朝の会だよ。今日さ、学校に来賓として〈マグマ共和国〉の方が来られるからね。いい? 廊下で会ったら必ずご挨拶だよ。なにかしてみたい質問とかある? 文化交流は大事だものねぇ。



あなた:マグマ共和国の公式な挨拶は『クロスカウンター』でしたね。

してみたい質問? ……そうですね。

『マグマ共和国の高校生』『日本人の高校生』『犬』で知能テストをさせてみたら第三位だったというのは本当ですか? 日本人は第二位だったみたいですけど。



崇期:そういう質問しちゃダメでしょ! 教育委員会さんがザワザワするよ! 私も胸がザワついちゃったよー。


あ、もう授業はじまってる! 今日、チャイム鳴らないからね。マグマ共和国の方、犬の聴覚の3倍らしいから。……笑っちゃだめだよ。


あなたの知り合いにもすごい能力を持った人とかいるんじゃないの?



あなた:「今日も薔薇の聖剣で地球を救った」と豪語していた友人なら五人いましたが。

そいつらの言う事には今まで地球人類は戦いの巻きぞえで一三回滅んだが、聖剣の力でリセットして生き返らせているそうです。

嘘だと思うんですけど、私の記憶に説明のつかない断絶部分が一〇個ほどあるんですよね。

ちなみにそいつら皆『彼女いない歴=年齢』です。



崇期:人間、いろいろだよ。じゃあさっそく、1時限目は「国語」ね。


 大吉のおみくじが僕に牙を剥くよ

 指を切られて 家路につく

 おやつは 天地無用のプリン

 スプーンがないって どういうことだよ


これは今年も教科書に載らないことになった詩だよ。これって、作者はなにが言いたいんだと思う? 感じたことを書きだしてみよう!



あなた:人間、報いてくれるはずの幸運に裏切られるのは哀しい事です。

私も当たり分をつぎこんで大穴を買いまくった競輪場で何度呆然とした事か。

プリンしか食べないハードボイルド作家の書くポエムはもっと評価されるべきだと思います。

CGが見事な心霊動画の様に。



崇期:さすがだね、いいところついてるよ。難しく考える必要ないのよ。だけど、心が思っていることを言葉にするのが難しいの。表現力が身についてなきゃだから。


今、パッと思いついた言葉をいくつか挙げてみて。



あなた:1・3・5・10。コミックスの完結は最小公倍数の三〇巻か。

ジョン・ガリアーノ。デザインイカス。

ブロック宇宙論。ホログラフィック宇宙論。集合無意識。全宇宙は全時間全空間の開放系。

DEVO。世界最高のバンド。

ウケをとるのは正義。



崇期:だいたいなに考えてるかわかるわ〜。じゃあ、その言葉に含まれてる感情を引きだすの。そう、心から作るの難しいでしょ? 自分の心もわからないときあるよね。だから、逆に言葉の中に普段の自分を発見できないかやってみるのよ。言葉を自分に寄せるみたいなね。言葉からなにを感じる?



あなた:自分の考えている電波な事をこういう機会に書き置いておくと、何の責任もなく発表した気分になって楽ですね。



崇期:すばらしい! ていうか、あなた、言葉慣れしてない? まぁ、いいや。私なんて、趣味で小説書いてるけど、タイトルから作っちゃうからね。タイトル生みだした時点で言いたいこと終わっちゃってるから。そうなのよ。あなたもそんな趣味持っていそうだね。


 出オチの常習犯

 キャッチフレーズ詐欺

 尻すぼみ逃走犯

 コメント・レビュー愉快犯

 

あなたの小説はどういう問題を抱えているかな?



あなた:ジャンルがSFなのかファンタジーなのか解りません。

ヒロインが一般受けしそうにないヤツばかりです。

書いている内に話が無駄に壮大になります。

設定が自分でも意味解りません。



崇期:これ、誘導尋問なんだよ……やっぱり、あなたカクヨム作家なんでしょ!? 学生のふりしてやってくるなんて……おちゃめ!


実はね、私も教員免許持ってないの。いきなりこんな告白してごめんね。ガッカリした?



あなた:カクヨム作家だとバレしまったのでは仕方ありません……自爆!

あ、奥歯のスイッチはインプラントで取り換えてしまったんだ。

えーと、教員免許を持ってないのに教師をやってるのですか。

私も殺しのライセンス持ってないのに殺し屋やっているのですからノー・プロブレムですね。

今日、転校生のふりして授業受けていたのも小説のネタを探しにやっていたのですし。

おかげで妄想には当分事欠かないだけのネタを手に入れられました。



崇期:そうなんだ。せっかくこうして出会えたのに、もうすぐこの教室を追いだされてしまうのかと思うと寂しいよ。いや、あなたもだよ、あなたも私と一緒に放りだされるよ。まだカクヨムから追いだされていないだけマシと思わなきゃ。


最後にこれを読んでいる奇特なユーザーさんに一言ご挨拶して。



あなた:一言? 百事くらい言っていいですよね?

どうも。田中ざくれろです。

自分でもドン引きするような電波小説ばかり書いてます。

一応シリアス作家のつもりですが「お前程度のシリアスがなんぼのもんじゃい」とか言われそうですね。

『にじめ、うずめ』『あの日、僕が見たUFOは』『運び屋オークのパンデミック後のオタク生活』『宇宙怪獣ティホン-食欲-』をよろしく。

上記のはシリアス風味ですが、こまごまとしたギャグ物があります。

ギャグっていうかユーモアですね。

……いろいろな事を書き連ねようかと思いましが、いざとなると面白い言葉が頭に浮かびませんね。

じゃあ、今年もよろしく!

2022、トエンティ・ダブルピースY(^^)Y



崇期:どうもありがとう。ではまた、どこかの企画で会いましょう。あなたの答え、とても気に入ったよ。成績として、胸に刻んでおくからねー。じゃあ、さようなら。



あなた:さようなら。……デュワッ!

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