第13話 出来ちゃうんです
「もちろんです!私にできることであれば何でもお手伝いさせてください!」
ナディアは快く承諾し、彼らに協力するのであった。そうして、ナディアはすぐにギルド長の案内で大勢の患者が寝込んでいるベッドが置かれた部屋へと向かう。
そこには何人もの患者が寝かされており、彼らの介抱を行っている人間も複数いた。介抱を行っている人間は何日も休まずに作業を続けているのだろう、全員に疲労の色が見られる。
そんな患者たちをみて、ナディアはある共通点に気が付く。それは、ミナミと同様に呪いの兆候が見られることだ。
「ナディア様、患者は全員ここで介抱を行っている。どの患者も治癒魔法をかけても症状が改善されることがなく、症状がひどいものに至ってはどんどん衰弱していっている。何人もの治療師が診察を行ったが原因が全く分からない。正直、私も長いこと治療を行ってきたがお手上げ状態だ。」
それはそうだ、彼らの症状が病気などであれば治療魔法をかければ症状も改善されるだろう。しかし、ナディアの見立てでは彼らは病気でなく、呪いにかかっているのだ。
そんなことをしても意味がない。呪い自体は非常に珍しいものなのだ、治癒師である彼らがその考えに至らなくてもおかしくはない。ナディアでさえ、ミナミの存在が無ければ今回の原因に気づけないでいただろう。
「ギルド長、彼らはおそらく病気ではなく、呪いにかかっていると思われます。」
「の、呪いだって!いや、しかしそれなら治癒魔法の効果がないのは説明がつく。まずいな、それなら急いで解呪できるものを捜さないといけない。呪いなんて珍しいもの、解呪できる人間なんて数えるほどしかいないぞ!」
今まで解決の糸口が見えさえしなかった現状にわずかな光が見えたものの、彼らの治療の難易度のことを考えるとギルド長は単純に喜べないでいた。
すぐさま、ギルドのコネで解呪できるものを探し出そうと、部屋を飛び出していくギルド長にナディアは声をかける。
「ギルド長、この程度の呪いなら解呪できますけど、私がやりましょうか?」
ナディアからすれば今までさんざん、ミナミの呪いを聖女の力で抑えてきたのだ。そんな彼女は呪いに対してのスペシャリストと言ってもいい。ミナミの呪いは非常に強力なため、完全に解呪することは難しかったが、目の前の人間の症状程度の呪いであれば簡単に解呪することが出来るのだ。
「えっ、ナディア様、出来ちゃうの?」
「はい、出来ますよ?」
呪いを解呪できるような人間が国に数人しかいないと言われる中、まさか自分の目の前にいるとは思いもしなかったギルド長はいつもの威厳溢れる態度ではなく、素の態度が出てしまうのであった。
「あっ、じゃあお願いします。」
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