空を見て帰る

「わあ、みてみて、あそこ、雲が真ん中で下が紫で上がオレンジ!」

「へえ」

「綺麗だねえ!」

「そうだね」

「もぅ」

「……」

「明日と同じ明日はないんだぜ!」

「それ、今日じゃないの」

「あっ」

「……」

「もー! なんか、こう、もっとカンキワマリってよ!」

「それは何語だ。感極まる、でしょ」

「同じじゃない?」

「同じじゃない」

「日本語、難しいね……。空、きれー」

「きれーきれー」

「もっと感動して!」

「明日も感動するでしょ」

「そうだね! 今、感極まるって!」

「どうせ、明日も一緒なんだから毎度毎度、感極まってますよ」

「マジで! やったー!」

「いやもう、スイッチどこだよ。コイツのスイッチどこだよ」

「早くかえろー!」

「はいはい」

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