[書籍化]転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう！

第121話 久しぶりのアランさん

ーside ラインハルトー

「出発前にアランさんに色々と挨拶に行きたいと思う」

「それがいいね」

　俺の領地の実務を担ってくれているアランさん。

　精霊たちの転移魔法で定期的に戻って来ようとは思っているが、領地を離れている間、彼に任せっきりになってしまうので色々とやってほしいことやこれからこの領地をどのように運営していきたいのかを話し合いたい。

　と言うわけで、事前にアポイントを取った上でルイと一緒に会いにいくことにした。

　♢ ♢ ♢ ♢ ♢

「ここが代官の屋敷……」

「すっげーな！」

「これは中々ね」

「キラキラ」

　以前来た時とは全く違う。

　道もしっかり整備されて、綺麗にしていて中では忙しなく色々な役人が働いている。

　代官屋敷は公爵家の屋敷と同じく、役所の設備もあるからね、俺の領地の代官屋敷がちゃっちいと他の貴族に舐められないてしまうから、成金に見られないように華美すぎず、舐められないようにして欲しいとアランさんに頼んだんだ。

　指示通りちゃんとした建物にしてくれて嬉しい。

「お久しぶりです！ラインハルト様！」

「お久しぶりです！アランさん！」

　俺たちがぼーっと眺めていると中から見知った顔の人が出てきた。

　どうやら、俺の顔を知っていた人が呼んでくれたみたいである。

　ちなみに、この屋敷で働いている人は俺の部下ではあるが、公爵家から派遣された人たちなので父上の部下でもある。見知った顔の人もちらほら。公爵家に比べ小規模なので比較的アットホームな職場だ。

　相変わらず、物腰の柔らかい人だ。

　俺の周りには圧の強い人が多いので、数少ない安心できる人でもある。

「なかなか良くなりましたでしょう？この屋敷」

「はい！それはもう！驚きました。華美すぎなくてとても良いですね」

「ええ。運よく公爵家お抱えの方が引き受けてくれたので、ラインハルト様も安心していただけると思います」

　なるほど。通りで初めて見たのにどこか知っているような雰囲気を出しているわけだ。

　これはなかなか。

ーーヒソッ

「なあ、アルバート。これ俺たちの屋敷よりもいいんじゃねえ？」

「それを言ってはいけませんよ、アルバート。私もそう思わなくはないですが、事実は人を傷つけます」

「そうは言ってもよお、今からでもラインハルトにそれとなく伝えてその公爵家お抱えの建築士さんに設計だけでもしてもらった方がいいんじゃね？」

「ですねえ。あのラインハルト様が作った建築……はっきり言って微妙ですもんね」

「はっきり言い過ぎだ……事実は人を傷つけるんじゃなかったのかよ」

「それはそれこれはこれ」

　マークとアルバートが2人で真剣な様子で話し合ってる。

　本人達はヒソヒソと話しているつもりだろうが、丸聞こえだ。アランさんも苦笑いしている。

「あの2人とも、聞こえてるから」

「「！！」」

「ちなみに、事実すぎてめっちゃ傷ついている」

「すまん！」「大変申し訳ございません」

　俺のガラスのハートのライフはもう0よ。

「はいダウト」

「そんなことで傷つく繊細なラインハルトじゃないわ」

「偽物なんじゃない？このラインハルト」

「そーだそーだ！」

　なんか、野次馬精霊がうるさいがこんな事を気にする俺ではない。

　あと、ルーカス。そーだそーだはやめてね。

「あー、2人ともいいよいいよ。アランさん、というわけで、今日頼むことに加えて俺の屋敷の整備もお願いします」

「かしこまりました」

　アランさんは苦笑いした様子でそう答えた。

　その後、アランさんに領地の近況報告。そして、これからの道の整備に関してや産業のこと、公的施設の整備など、これからの計画を聞きささっと指示を出してその場を出た。

　ここら辺も、アランさんが優秀なためほぼお任せでいいみたいだし、基本は父上やその側近の方々が何重にもチェックしてくれているみたいなので、俺の役目はほとんどない。

　そんなこんなで、ちょっと休んだ後俺たちは家に戻り旅支度をし、冒険に出発するのだった。

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